小説
□23章
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こうしてユエルとノエルは与えられた仕事を無事終えることが出来た。
しかし二人を何とも言えない気まずい空気が包み込んでしまっていた。そしてお互いに言葉を交わすことなく床に就こうとしていた。
「ユエル…まだ起きてる…?」
この気まずい空気のまま明日を迎えるのは良くない…そう思ったノエルは二段ベッドの下からユエルに呼び掛けた。
「ん…起きてる」
「…今日は…お疲れさま」
「…そんな…ユエルは何もしてない…お疲れさまはノエルの方よ…」
「………。」
二人は暫く沈黙してしまったが、今度はユエルの方から話し掛けた。
「ねえ…ノエルはその…お客さんの前ではいつもあんな感じなの…?」
「え…? ああ、いつもの僕と違うから驚いた?」
「………。」
「あれは演技だよ。営業スマイルって言うのかな…ああすればお客さんが喜んでくれるから…」
「そう…なんだ…」
「今日はもう寝ようか…ノバラさんから聞いたよね? ハヌマ様は水曜日と木曜日にご来店されるから…多分明日も来るよ」
「……うん…おやすみノエル」
しかしユエルは今日のノエルとハヌマの情事のことを思い出してなかなか寝付くことが出来ずにいた。
『明日も…また…?』