小説

□28章
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 「ノエル!!」

ノエルの姿に気付いたユエルは急いで駆け寄って行った。

「ノエル、歩いて平気なの? もう大丈夫なの?」

「うん…怪我は大したこと無いって。
だけど仕事に復帰はもう少し先になるみたい…
僕は別に明日からでも良いんだけど……ノバラさんがもう少し休めって言うんだ」

「そっか…良かったぁ…」

ほっとした表情のユエルとは逆にノエルは真剣な眼差しで言った。

「それよりユエル……聞いたよ。見習い卒業して直ぐに働きたいって言ったんだってね…?」

「あ…う、うん」

「何で? 何でそんなこと……」

ユエルはノエルの手を取ると、ゆっくりと語り始めた。

「ノエル…あのね…今までノエルや周りのみんなに甘え過ぎてたって気付いたの…。
特にノエルにはいっぱい迷惑かけちゃったよね…。
だからユエルね、ノエルの怪我が治るまでノエルの分も頑張るって決めたの。
それにね…紅美香登で精一杯頑張ることが、ロイドと再会する為に今のユエルが出来る唯一の方法で近道だと思うから…。
だから…ユエルはもう大丈夫よ」


 
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