小説

□29章
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「えっ、ユエルそんな寝言言ってたの!?」

ユエルは恥ずかしそうにあたふたしていたが、直ぐに悲しそうな表情になってしまった。

「ロイドは……ユエルの大切な人…一番会いたい人なの…」

「…どうしてその人と離れ離れになったの…?」

「そ、それは……」

ユエルはこれまでの事、紅美香登に来る前の出来事を順を追ってノエルに語った。ノエルはユエルの話を黙って聞いていた。


ユエルは全てを話終えて悲しそうな顔をしている。

「そうだったんだ…大変だったんだね…」

「うん…でも…ノエルに全部話したら少しだけ心が軽くなった気がする…
ユエルね、ずっと友達って居なかったの…
だからね…もしもロイドと再開出来たら絶対ノエルのこと話すよ。素敵なお友達が出来たって報告するの」

「ユエル…」

「ねえ、そういえばノエルは此処へ来る前はどうしてたの…? 良かったら教えてほしいな」

「…いや、僕は別に…ユエルみたいな深い経緯は無いよ…
ただ親に売り飛ばされて、酷い遊廓で働かされていたところをノバラさんに助けてもらって此処へ来たってだけ…」

「……そっか」

「それよりユエル…ロイドさんに会える日ってもしかしたらそう遠くないかもしれないよ…?」


 
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