小説
□35章
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ユエル達は東方人街へ戻って来ていた。
三人は繁華街を通って慣れ親しんだ紅美香登へと向かった。
此処でノエルとはお別れをしなければならない。
「…僕が一緒に居られるのは此処まで…。
本当は…ユエルがロイドさんと再会出来るまで…見届けたかったけど……。
ノバラさんとの約束だから……此処で…お別れだね…」
ノエルがそう言うと、ユエルはノエルに抱き付いた。
「ノエルっ…!」
「ユエル…泣かないでよ…また会えるから…僕はいつも此処に居るから」
「ノエル…ありがと…今まで本当にありがとう…。
ユエルね、前も話したけど、ノエルが居たから今まで頑張れたの。
初めてこの街に来た時も、初めて紅美香登に連れて来られた時もすごくすごく不安で怖かったけど、ノエルがお友達になってくれて、いつもユエルのこと助けてくれたから……だから……!」
ノエルはユエルの頭を優しく撫でながら答えた。
「…うん。ユエルの気持ち…ちゃんと分かってるから…。
…早くロイドさんに会えると良いね」
「ノエルぅ…ノエル……また…また…絶対会いに来るね!」
ユエルは涙を拭って笑ってみせた。
「…うん…じゃあ僕はそろそろ戻るよ…。
…グレン、ユエルのこと…宜しくお願いします」
「ああ。任せとけよ。ちゃんと送り届けるからよ」
「ノエル…ありがとう。また会おうね!」
ユエルが手を振りながら言うと、ノエルは優しくはにかんで見せた。
「…うん…またね」