shortstory

□まだ花の無い君
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将棋道具一式を片付け終え、はあ、と一息ついたところで今日の赤司の言動を思い返す。





アイツは今朝、遅刻寸前で登校してきた。
だが決して寝坊だとかではない様で、澄ました顔で呑気に歩いて来ていた。






そして昼は食堂に来なかった。

黒子が捜しに行ったらしいが、教室で窓の外を見たまま動こうとしなかったらしい。










(窓の外…)






先ほど、何度も赤司が気にかけていた窓の外。




赤司の座っていた席に移動し、そこから窓の外を見る。











そこはちょうど木に邪魔されてグラウンドも見えない場所だった。






















『お前には桜が似合うな』


























その言葉をきっかけに、この木の名を思い出す。


そう、桜だ。












だが今は冬。桜の花なんか咲いていない。










(これを見て俺にそう言ったのか?……意味がわからん)







咲かない花を後ろに映されていたのならそれは失礼な事だ!と腹が立ち、教室を出る。





最後にもう一度窓の外を見たが、やはりそこには花の無い桜の木しか見えなかった。





































『あと少し』
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