shortstory
□呼び方
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やや乱暴に顎を持ち上げられ、唇に大輝のソレを重ねられる。
「んっ…」
突然の事に眉をひそめると、大輝が更に口づけを深くする。
苦しくなって胸板をドンドンと叩くと、
大輝は一瞬離れた。
「征十郎、」
微かに聞こえた大輝の声に、
確信なんてないのに。
全身が熱くなるのを感じた。
そのまま大輝は俺を道連れに倒れ込み、俺を押し倒す形になる。
長いキスで朦朧とする思考回路。
でもバカみたいに先ほどの大輝の言葉が離れなかった。
「だいき、おまえ」
頬に手をやると、熱くなっているのがわかった。
そんな余裕のない大輝を見て、自然と笑みがこぼれる。
(バカみたいだ)
「だいき、もういっかい。よんで」
名前。
「あんな恥ずかしい事二度もできっか、…バカ征十郎」
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