shortstory
□呼び方
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「大輝」
ぽそっと呟いた名前は、誰に届くという訳でもなく掻き消える。
「何か言ったか?赤司」
「ん・・・いや」
隣で眠っていたハズのそいつが訊ねてきた。
「赤司、か」
「さっきからブツブツ言ってんな。なんなんだよ」
イラだった口調で俺を責めるが、
俺が一向に何も言わないので諦めたようだ。
そのまま大輝は体を起こし、座っている俺を後ろから抱き締めてきた。
「・・・苦しいよ」
「いーだろ、こんくらい」
小さく息を吐いて俺の肩に顔を埋める。
その仕草が子供っぽくてつい笑ってしまった。
「・・・大輝」
またぽそりと。
名を呼ぶ。
「さっきからなんなんだよ。ヤってる最中もしつこく名前呼びやがって」
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