shortstory

□王様のお遊び
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「嬉しいよ、青峰」






その表情はキセキ達の話をしている時

一度も見せなかった表情。




「……あ、」




頭の弱い俺でも少し、理解した。




“うちの王様は独占欲の強い寂しがり屋さん”





テツの言葉を思い出して俺は落胆する。






呆れた…



そして、疲れた。







「ふふ、わかってくれたかい?というか、今まで何の反応もないから少し詰まらなかったよ」



赤司は飴を俺の目の前に置いて笑みを深める。






俺はコイツ…王様の遊びに付き合わされていただけだったんだ。




独占欲の強い、寂しがり屋の王様。







「お前を振り向かせるにはこれくらいしか思いつかなくてね。
いくらバカなお前でもやきもちくらいは妬いてくれるだろうと思ったんだ。

他の奴らにお前の事を話さなかったのは、
言いたくなかったから。


お前の嫌いなところも、魅力的なところも
全部俺だけが知っていればいいだろう?」




敵わないな、と思う。




俺はデカい溜息を吐くと
満足そうな赤司を見上げる。





「楽しかったかよ、おーさま?」


「ああとても」


「あっそー」


「お前は?付き合わされたままでいいの?
俺はまだ少し寂しいけれど」





赤司がそう言って俺の頬に手を添える。


時計を見れば、もう部活が始める時間。






「俺の遊び、付き合ってくれんの?」


「愚問だね」







俺はにやりと笑うと赤司の唇に舌を這わせた。


















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