shortstory
□無防備
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「今日で終わりだね」
おもむろにそう言う赤司。
その表情はどこか寂しげでもあった。
「そッスねぇ・・・高校行ってもみんなと試合したいッス」
「・・・黄瀬はきっと、今より成長しているだろうね」
そっと微笑む赤司。
そして驚きを隠せない俺たち。
(不気味だな)
赤司が人を褒めるなんて事は滅多にしないと言うのに。
「黄瀬だけじゃない、お前たちはきっと強くなる。それはお前たちだけの強さではなく、バスケや人としての強さだ。」
「赤ちんどうしちゃったの?」
「気紛れだよ」
赤司が目を閉じる。
その時俺には赤司が泣いている様にしか見えなかった。
春を迎え、俺たちは別々の高校へ進学していった。
そして冬、俺たちはその知らせを受けた。
赤司は、死んだ。
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