shortstory
□夢現
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部活の帰り、地下鉄のホームに下りた。
そしたら、ホームの向こう側に一際目立つ髪を見つけた。
長身で金髪。
顔はよく見えない。
ケータイが鳴り、電話に出る。
[あ・・・みね・・・ザッ・・・おもいザザッ・・・て・・・]
電波が悪いのか聞き取れない。
というか誰だコイツ。
電話を切って前を向いた時、
あの男が視界に映る。
いつの間にかホームに、
この空間には俺とあの男だけ。
(誰だアイツ)
足を一歩、踏み出す。
すると、パアァァァッと遠くから電車の音。
「青峰っち・・・」
騒音の中、確かに聞こえた。
それと同時に線路に飛び出す男。
とっさに走り出し、ホームから手を伸ばす。
「早く掴め!!黄瀬ェ!!!」
男は一瞬固まり、俺も疑問に思う。
黄瀬?なんで、そんな名前が。
だけど本能が、目の前の男を失う事を恐れている。
「黄瀬!!」
「青峰っち・・・!」
手を掴んだ。
ハズだったのに。
伸ばした指先は、空気を掠めて。
パアァァァッ
「あお、」