shortstory
□世界の最期まで君を愛す
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【明日で世界は終わります】
「ん〜・・・赤ちん・・・」
うなり声で起きた敦。
俺はそっと汗で額にくっついた前髪を退けてやる。
「おはよう、敦」
外は異様な静けさだった。
いつもは車の音だとか、人の話し声が絶えない筈なのに。
「実感するね、最期だって」
そう言って微笑むと、敦は何ともおもしろくなさそうに目を逸らした。
「赤ちんよゆーそうだね」
「・・・まあ、ね」
昨日、黒子達に会った。
最後の別れの為に。
それぞれが吹っ切れた顔をして。
テツヤは夢を遂げ、大輝は願いを叶えた。
涼太はずっと強くなり、真太郎は大らかになっていた。
敦は、少しだけ正直になった。
「ねぇ、敦」
ん?と聞き返してくる敦。
まだ眠いのか、ウトウトしていた。
「耳を貸して」
「いいよ〜」
動く気はないらしい。
仕方ないな、と寝転んでそっと耳打ち。
「 」
敦は突然起き上がって僕に飛び付いた。
「俺もだよ、赤ちん」
背中に手を回して、顔を埋める。
例えこの時が終わってしまっても、
世界の最期まで、
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