shortstory
□腐食症
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彼は何を食べて生きているのだろうか。
赤司征十郎と言う男の存在理由は至って簡単だった。
“勝利する”
ならば、それまでの工程は。課程は。
彼を生かしているのはなんなのか。
「僕は食べ物が嫌いなんだ」
「……んー…?」
理解できない、という様に紫原が首を傾げた。
それでも赤司は銀杏の葉を弄ったまま、
続けるのだ。
「美味しくない、必要ない、勝利への道に不要な物」
つまりそれは、彼を生かす“物”では無いということ。
「それじゃーさー…赤ちんはどうやって生きてるのさ」
「ん…?」
薄いピンク色をした艶やかな唇が弧を描いたまま。
目を伏せる彼はとても妖艶。
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