びっぽ短編

□誕生日 マフィンの味
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授業も終わり、下校の時間になった。




はぁ・・・プレゼント、どうしよう。




どぅる「綾」




私「?」




どぅる「ちょっと、皆居なくなるまでここにいて」




え・・・




私「・・・うん」





断りたかったけど、どぅるが真剣な目で見つめるから頷くしかなかった。




しばらくすると、クラスの子が居なくなり、教室には私とどぅるの二人しか居なくなった



どぅる「ねぇ」


私「・・・なに?」



どぅる「プレゼント、本当に無いの?」


ぶぅ、と膨れっ面をするどぅる。



か、可愛い・・・。じゃなくて!


私「・・・いいじゃん、そんな沢山プレゼントあるんだから」





どぅる「綾のプレゼントじゃないと嫌だ」



な・・・


私「嘘でしょ。あんなに私に見せつけといてさ」



どぅる「あれは・・・嫉妬して欲しかったから」


私「はぁ?そんなことのため?」



どぅる「うん。まぁ実際もう、妬いてるでしょ 」



私「・・・!」




妬いてない・・・って言おうとすると、


「妬いてないなら、プレゼント渡して証明して」


と、どぅるが手を差し出してきた。



なんじゃそりゃ・・・と思いながらも、あげなきゃどんどん拗ねてくと思って



仕方ないから渋々鞄に手を伸ばした。



どぅるが嬉しそうに鞄を除き混んでくる。


・・・そんな楽しみそうな顔されると・・・


あああやっぱ無理!


そう思ってチャックを閉めようとすると、どぅるが鞄を掴んだ。



どぅる「ちょちょちょ!!なんで閉めるの!」





私「だって絶対まずいもん!

1つ味見するとあげれるのが1つしかなくなっちゃうから、
味見もできなかったし・・・!


どぅるが他の女の子から貰ったプレゼントの方が絶対美味しいもん!」



どぅる「・・・」



私が涙目で叫ぶと、
どぅるは悲しそうな顔をして、すばやく鞄を私の手から奪った。



私「あ、ちょっと!返して!」



取り返そうと腕を伸ばしても、背中を向けられて奪うことができない。



私「ちょっと!お願いだからやめて!ねぇ・・・!・・・ん」


!?


口にふにゃっとしたものが触れたと思ったら、
甘い味が口に広がった。



!これ・・・



私「ん、あ・・・」


どんどん激しくなるどぅるの胸を叩いて、無理矢理突き放した。




どぅる「ん・・・はぁ。






・・・ほらね、美味しい」


そう言ってニヤッと笑うどぅるを見て、


さっき口に入ってきたものの味を思い出した。



私「!まさか・・・私のマフィン!」




どぅる「うん。味見、できたでしょ?」



私「え、はあーー!?そういう問題じゃない!」





食べられた恥ずかしさより、口移しされた恥ずかしさが勝り


私は手で顔を隠してうつむいた。




私「なんてことするの!」



どぅる「まぁまぁ!だってこうでもしなきゃ、僕も綾も食べれないでしょ?」



私「だからって・・・もう!ていうか、びっくりしちゃって味分からなかったし!」



どぅる「あ、そう?なら、まだもう一個あるからまた味見しよっか!」



私「あああ!ちょっ、まっ・・・んん!」


もうー・・・!





口に広がるマフィンの甘さを感じながら、



こんな誕生日もいいかな。と思った。



(来年も、プレゼントの相手がどぅるだといいな・・・)



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(私 (ん・・・やっぱまずいじゃん)





(どぅる (え?美味しいよー!さっき他の子から貰ったプレゼントより全然!食べてみる?)





(私 (え・・・じゃあ一個だけちょうだい)



(どぅる (はーい!ん)




(私 (口移しじゃなくて普通に!)








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