びっぽ短編

□人肌
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ちゃに「おはよ〜」

鏡の前に立って歯を磨いていると、
ちゃにが私の肩に顎を乗せて鏡越しに見つめてきた。


私「っ、ほら、早く歯磨きなさい」


ちゃに「あ〜照れてる?」


小さく笑いながら蛇口をひねるちゃに。


はぁ・・・まさか同居することになるとは。


マネージャーになった私はここ一週間 びっぽと同居生活をしている。



んで、このマンネ。
絶対私のこと弄んでると思う。



私がイライラ・・・・
ほんの少しだけドキドキしながら鏡から目を背けていると、


ちゃに「ん?・・・あ!!」


突然ちゃにが叫んだ。

私「え、なに?」



急いで鏡に映るちゃにを見ると、掻き上げた前髪の下に小さいニキビが。




ちゃに「わ〜どうしよ!」


ほーちゃににもニキビできるんだ・・・


呑気にそんなことを考えていると、ちゃにが振り向いた。



ちゃに「綾、どうしたら治る?」



・・・いや、あんた、私より肌綺麗なんですけど。嫌味か?


喉から出そうになった言葉を必死に呑み込み、


私「洗顔してれば治るよ」


と適当に返事をする。


ちゃに「してるのにできたのーどうしようもうカムバなのに」


私「大丈夫だよ、小さいしあんま目立たないよ
照明もあるし」


私の答えが納得いかないのか
ちゃには口を尖らせたまま洗顔を始めた。


もー。十分綺麗だよ、腹立つくらいに・・・


そんなことを思いながら
ちゃにをどかせて
口をゆすぎに蛇口をひねると、

「!あつっ!」

蛇口から熱湯が出てきた。


ちゃに「え、そんな熱い?」


私「熱いよ!これじゃ駄目だよ」


駄目?と顔を濡らしたまま
ちゃにが私を見つめる。


私「これじゃ肌荒れちゃうよ、人肌の温度にしなきゃ」



人肌・・・と小さく呟くと、
首を捻りながら
突然ちゃにが私の手を握った。



私「なっ・・・」



ちゃに「うーん・・・人肌ね」


言いながら、ぎゅう、ともっと強く握りしめてくる。


ドクドクと鳴る心臓の音を聞きながら
握られた手を見ていると、


ちゃに「・・・分かんないや」


と言ってちゃにはそのままタオルを持って
洗面所を出て行ってしまった。



私「・・・は」


なんなのあいつ、人の心を弄んでー!



私「あいつ絶対プレイボーイだ」


吐き捨てるように呟き、ちゃにの背中を睨んでドアを閉めた。





もうあいつは気にしないで着替えよう・・・そう思いながらキャミソール姿になったとき



ガララ


私「!?ちょっと!」


ちゃに「・・・あ」


ノックもしないでさっき出てったばかりのちゃにが
洗面所に入ってきた。


私「もう!早く出てって」


振り払うように手を振って後ずさると


「・・・わっ!」



落ちていたタオルに足を滑らせてしまった。


倒れる──────
そう思ったとたん、ぐいっ、とちゃにが腕を引っ張って私を引き寄せた。


私「!」


ちゃに「あっぶな・・・大丈夫?



私「う、うん ・・・」



露出された肌にちゃにの腕が触れ
恥ずかしくて離れようとすると、
ちゃにが引っ張って私を抱き締めた。


私「!は、離して・・・」




ちゃに「・・・無理」




私「ちゃ・・・」





ちゃに「今、人肌の勉強してるから」




・・・は?


私「なんて?」



ちゃに「カムバ成功の為に協力して。マネージャーさん」


はい!?


なんなのこいつ!そう思い離れようとすると
余計強く抱き締めてくるちゃに。


私「あぁもう・・・1位取らなかったら承知しないからね」



そう言ってちゃにの背中に腕をまわしながら、
やっぱ完璧にプレイボーイだこいつ・・・
と小さく呟いた。









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(よし、洗顔しよっと)

(どーぞ)

(あ、その前に綾ハグ〜)

(こら、離れなさい!)



人肌温度チェックのハグは
日課になってしまいました。

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