dream2

□バレンタイン
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女の子が想いを寄せる異性に気持ちを伝えられる日。



2月14日。
バレンタイン。



絶対に告白してみせる!







【バレンタイン】




あの人を好きだと意識しだしたのが数ヶ月前。



クリスマスの前には告白しようと思ったのだが、勇気が出ず未だに気持ちを伝えていない。





「いい加減にしないと、この先ずっと告白出来ないよ。」


「うーん、やっぱ告白はした方がいいと思うよ。」




私の気持ちを知っている三郎と雷蔵に厳しいことを言われた。
だけど、二人の言う事は正しい。


きちんと私の性格を考えた上で言ってくれているのだ。




だが、今までに告白というものをしたことがない私にとって、簡単に出来るものではない。





「名無しさんはすぐに緊張するからね。」


「まず、それをどうにかしないとな…よし!名無しさん俺に好きだと言ってみろ!!」


「なっ!何で好きでも無い三郎にそんな恥ずかしい事言わなきゃいけないの!??」



真剣に考えてくれているのか解らなくなってきた…。




「名無しさん、今のは少し傷ついたぞ。」


「えっ!ごめんなさい!!」


「まぁ俺も名無しさんなんか何とも思ってないがな。」





ぐさっ!





「ほ、本当に申し訳ありませんでした三郎様。」


「あはは」





無意識に雷蔵を盾にして三郎から隠れる。





「で、やっぱ告白の日はバレンタインだよね?」



「やっぱその日じゃないとダメですかね?」


「何?バレンタインに告白するの嫌なの??」




普通の女子ならば、バレンタインが近ければこの日をチャンスに考えるはずだ。




「だって、さ、恥ずかしくない?!ベタじゃない?!乙女過ぎじゃない?!」





物凄い迫力だったのか二人は一本後ろにたじろいだ。

しかし直ぐに呆れた顔になる。




「お前なぁ〜。」


「名無しさんの場合、下手したら相手の前で緊張して黙っちゃう可能性が非常に高いんだよ。」




そう言われると否定できない。





「つまり、チョコを渡すことさえ出来れば、相手がどんなに鈍かろうが…」


「好きだって解ってもらえるのね!!!」




二人とも頭いいな!



「名無しさんが馬鹿なだけだ。」


「?!!心読まれた!」



バレンタインって、こんなに素敵な日だったのか。
何故この14年間気がつかなかったのだろう。




「肝心のチョコはどうするの?」



やっぱ本命には手作りが1番だよね。




「くのたまのミカちゃんに頼んでみる。料理凄く上手だから。」

「それがいいな。好きな相手を腹痛にさせるのも気の毒だし。」

「三郎くん〜。」

「俺は嘘は言わない。」




何はともあれ、バレンタイン当日までに覚悟を決めなくては。



こんなに私を応援してくれている友達が居るのだから。









■□■




バレンタイン当日








ミカちゃんや他のくのたまたちがチョコ作りを手伝ってくれ、料理が苦手な私でもとても上手く作れた。


ラッピングだってピンクと白のリボンで可愛く、なおかつ品があるデザインに出来て申し分ない!



やはり持つべきものは友達だとしみじみ感じさせられる。

自分一人だったら行動に移すことなんて出来なかった。





だけど手を借りるのはここまで。




ここから先は自分でやらなくてはいけない。
そう、もう甘えてなんかいられない。






「居た…。」







10メートル先にはこの数ヶ月想い続けてきた人が居る。
私の足は自然と進んでいた。


今からこのチョコと一緒に想いを告げる相手の元へと。






「あっ、あの!!」





潮江文次郎→p2
立花仙蔵→p3




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