Thank You



▽シャチ夢 現パロ





「嘘でしょ?」

駅を降りたら雪が降っていた。
電車に乗る前は雨だったのに。やだ、すごい寒い。今日手袋持ってきてて良かった。すぐ装着しよう。
そう思って鞄をガサゴソ漁ってると後ろから抱きしめられた。

え?何?!痴漢?!


「いよー!!偶然だなー!」

「キャス?」

「そ、俺!君の彼氏のキャスケットー!」

「クサッ!お酒クサッ!あんた呑んできたの?」

「仕事疲れてさ、呑まなきゃやってけねぇよ。ペンギン巻き込んで付き合ってもらった。あはは。」

仕事忙しいって最近言ってたもんな。ちょっと心配だな。ってか、いつまで抱きついてんのよ・・そろそろ話してほしいな・・。
周りの視線が痛い。


「やだ。寒ぃんだもん。離れたくねぇ。」

「でも、ここ公共の場だよ。わきまえよう。自重しよう。」

「なー右見て。」

「え?」

「だから、右向いて。」

「こう?」

わけがわからなかったけど大人しく言われるがまま右を向いた。
そしたらほっぺにキスされた。


「ちょっ、キャス?!」

「ごめんごめん。あはは!そんな怒んなよ。ちょっとからかっただけじゃんかー。」

「本当、恥ずかしいからっ。」

「わり、可愛くてつい。」

「もー、早く帰ろ。」



引っ張るようにしてその場を後にする。
勿論、マフラーで顔を隠して。知り合いに見られたら気まずすぎる。
あいつ駅で彼氏とイチャついてたよー。なんて。ああああ。考えただけでも死にたい。



「相合傘とか久しぶりだな。」

「そうかもね。」

こいつは私の心境も気にせず呑気なことを言い出したな。

「つーか、なんで雪降ってるの?」

「今更?!いや、知らないけど。」

「雪だるま作ろうぜ。マンションの玄関にデカイやつ!」

「えー?良いのかな?」

「誰も雪だるま作ったって怒らねえって。むしろ和むだろ?」

確かに。そうかも。

「楽しみだなー。あ、そうだ。」


使っていない私の傘をキャスに奪われた。持ってくれるのかな?って思ってたら雪が少し積もっている地面に何か書き始めた。


「キャスケット・・ハート・・私の名前・・・って!これ相合傘!こんな所に書かないでよ!」


「え?マンションの駐車場の方がいい?」

「もっとダメ。もう、中学生じゃないんだから。」

「中学ん時にお前に会いたかったなー。制服着たお前見たかった。そう考えると損した気分になったな。なんでもっと早く出会わなかったんだろうな、俺たち。」

「私は嫌だよ。中学生のキャスとか。」

「え?」

「なんか悪ぶってそう。」

「え?」

「ロー先輩の後ろでキャンキャン言ってそう。あ、今もか。」

「え?」

「どうせこれからずっと一緒にいるんだから良いじゃない。」

「お前・・・スゲェ口説き文句だな。」


呆気に取られてるキャスの顔が面白くて、なんだか笑えてきた。

道端に相合傘を書かれても良いか。
なんか幸せだから消さずにこのままにしておこう。


「雪、たくさん積もると良いね。」

「子供ができたら一緒に雪合戦しような。」

「え?」

「将来さ。ずっと一緒にいるんだろ?」

「そ、だね。一軒家建てるために頑張って働くわ。」

「いや、それは俺に任せろって。こう見えても稼いでるんだぜー?」

「知ってる。」






「ね、キスして?」

「んー?ココ、公共の場だぜ?」

「誰もいないから良いの。」

「そっか。」



雪、止みそうにないな。
地面に書いた相合傘が消えちゃう、なんてアホな事を考えながら私は瞼を閉じた。


うつろいゆめみてきえていくもの


2016.02.01
お借りしたお題サイト様
▽http://and.noor.jp/e/
▽エナメル様

新年初夢。
先日雪が降った記念に。





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