短編

□毒虫野郎と隣人
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「ジュンコ〜??」


『・・・』




 隣の家から聞こえてくる蛇の名前を不安そうに呼ぶ彼の声。
今日もジュンコ捜しが始まってる様子です。




『私も一緒に捜そうかな。』




 よっと、椅子から立ち上がりリビングの窓を開ける。
なぜ、捜すかっていうと、たまに私ん家に紛れ込んでいるからだ。

 最初、見つけたときに驚いちゃったなぁ・・・。
孫兵くんが飼ってる蛇のジュンコが毒蛇だったなんて




「ジュンコ〜・・・どこだ〜??」


『孫兵くん、私も捜すよ。』


「あ、李里さん。いつも、ありがとうございます。」


『い、いや。
こっちも、いろいろと貰ってるからさ・・・』


「?
私、何かあげてましたっけ??」


『あっ。い、いや。
それより、ジュンコ捜そうよ!ね!』


「はい!」





 ふぅ・・・危ないところだった。
思わず、孫兵くんに気持ちを伝えようとしちゃってたよ・・・(汗



『ジュンコ、どこ?』

「ジュンコ〜」




 めちゃくちゃ不安そうで泣きそうな声してない!?
ジュンコ、どこ!?


 花壇の方に行ってるのかな??
この前、花壇にいたし・・・
いや、だけど、前にいたから今回もいるなんて限らないよ  ね・・・?



 ・・・・・・って、いたし!!?




『孫兵くん、ジュンコ発見!』




「本当ですか!?今行きます!!」




 バタバタと孫兵くんの足音が近付いてくる。
そんなに慌てなくていいのに、ケガしちゃうよ、




「李里さん、ジュンk・・・いたぁああ!!」




 私に、どこにいるのか聞こうとしたけど、孫兵くんの視界にジュンコが入ったようで、
すぐにジュンコへと駆け寄る。




『これみて、一件落着かな?』

「ありがとうございます!」

『いや、いいよ。隣人なんだから』

「ボソッ)・・・隣人だからですか・・・??

『え?』




 今なんて?
声が小さくて聞き取れなかったけど、
すごい大事なことを聞き逃したような気がする。

 私は、なんて言ったの?と孫兵くんに言おうとしたけど、
孫兵くんが先に、「何でもありません。」と、ジュンコに向けるような表情で言った。




「あと、年下扱いしてると、後々痛い目に出ますから、気をつけてください。」

『なんで??』

「僕がジュンコ以上に李里のことが好きだと言ったら・・・?」

『〜っ//』

「あ、赤くなった。」




 なに、これ。
ま、孫兵くん、私のことからかってる??




「じゃ、ジュンコ、家に戻ろう。」

『ちょ、ちょっと、孫兵くん!?』




 混乱してる私を置いて、孫兵くんはジュンコと一緒に
私の家の隣にある自分の家に去っていった。





END



(さて、李里さん、たくさん悩んでくださいね?)(ど、どういうこと??え??)

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