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□25時と366日目の世界
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限りなく愛に近い嘘と、
限りなく嘘に近い愛
――「愛してるって、言ったら殺す」――
真実はどこへ消えた
――――……
世の中には、必ずしも理不尽や不条理な出来事があるものだ。
例えばそれは、自分ではなく近親者の行為によって被害を被ってしまったり、
はたまた“イメージ”という身勝手極まりない相手の妄想で、全て見定められたかのように振る舞われたり。
バッシャアアアンッ
ここにもまた、そんな無慈悲な現実に耐え続ける少女がいた。
「あはははっ!エリスったらやり過ぎよっ」
「あら、いいじゃない?だってこの子、血なまぐさいんだもの!」
「やぁだ、エリスったら!」
背の高い女子生徒に囲まれて、一人髪や袖から水を滴らせている少女は、静かに拳を握りしめた。
「言いたいことがあるんなら言えば?」
「……」
「エリス、そろそろ授業が始まるわ。それに…」
取り巻きの一人、ルーシー・ガントが意地悪く笑い、言った。
「あんまり近づき過ぎると、“アバタケタブラ”発動するわよ、この子!」
辺りに甲高い笑い声が響き渡った。
少女は一人、徐々に広がっていく足元の水溜まりを見つめる。
――どうして、どうして…
その時、チャイムが鳴り響いた。
女子生徒達は笑い声を響かせながら、足早にその場を離れた。
エリスと呼ばれた美少女は、ゆっくりと少女を振り返り、言い放った。
「せいぜい頑張って乾かすといいわ、じゃあね…“灰かぶり”ちゃん」