小さな冒険者と不思議な地図
□A strange encounter 〜始まりは突然に〜
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とある森の奥地に、一つの小さな村があった…
その村には、たくさんの小さな鼠獣人が住んでいた。
ある者は畑仕事で汗を流し…
また、ある者は店を開いて野菜を売っていた。
銀楼も、この村に住んでいる鼠獣人であり、そして村の中でただ1人だけの青年でもあった。
この村には銀楼以外にも子供はいるが、まだ苦労の字も知らないような子供ばかりで、銀楼と同世代の者は誰一人としていなかった。
銀楼も幼い頃は近所のお兄さんやお姉さんとも遊んでもらっていたのだが、彼らは既に成人してしまい、仕事の邪魔するわけにもいかないので、甘えるわけにはいかなかった。
大人とはたまに仕事を手伝ったり話す事もあったので、別に一人ぼっちではなかったのだが、銀楼には友達らしい友達がいなかったのだ。
『くぁぁ…やっぱ何もする事ないな…』
そのため暇なときには何をするという事も無く、ただ時間を無駄に潰していくしかなかったのだ。もちろん面白い事も無く、退屈なだけだった。
そんなつまらない生活にとうとう嫌気がさしてきた銀楼は、あることを決心した。
銀楼は今まで仕事を手伝ってきていた。もちろん生きるためでもあったのだが、暇をつぶすためでもあった。そのため銀楼はかなり稼いでおり、金銭的な問題はなかった。
『…金も溜まってきたし、そろそろ準備するか…』
そしてある日、彼はボソッと呟くと自分の家に戻っていった。