小さな冒険者と不思議な地図
□Odd fox 〜嵐とウメと変わり者〜
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銀楼たちが海に出てから何分たったのであろうか。
おそらくまだ1時間もたってないだろう。まだ彼らの旅は始まったばかりだ。
『きゃー…!風が強いよ…!まだウメヤマ島につかないの?!』
『わかんねぇ!先が全然見えねぇ!今日は運がついてないな…!』
なのにだ。彼らは既に嵐にぶつかってしまい、難航していたのであった。
島を出たばかりの時は満点の星空が広がっていたというのに、今では大嵐である。
スミノメ島とウメヤマ島は5kmも離れてないので、二人ともすぐ着くと思っていたのだが...とんだ災難だ。
こうして中々進めずにいる間にも、高波は押し寄せ、海水が船のなかに入っていく。
『銀楼!船に海水が入り込んできたよ…!それに底面にヒビが!』
『たぶん長くはもたないな…竜の姿になって海水を掻き出してくれ!このままじゃ重さで沈むぞ!』
『う、うん!わかった!』
流石に天宝もこの状況に慌てだしたのか、竜の姿となって海水をかきだしていく。
もし底面に穴でもあけば沈没は間違いないだろう。
『あ、ごめん。穴あけちゃった』
『おいぃぃぃぃぃぃ!!?』
だが不幸は続くもの。天宝の力が強すぎたのか、あるいは船がすでに限界だったのか知る由もないが、底面にはポッカリと大きな穴があいてしまい、海水が一気に流れこんできてしまった。
みるみる沈んでいく船。銀楼は舌打ちをしながら船を捨てる準備をしだした。
『しょうがない!泳ぐぞ!』
『え!…あたし泳げないよ?!』
『とことん最悪だな!とりあえず今は俺に捕まっとけ!』
『わかっ____』
天宝が返事をする前に、大きな波が音をかき消した。
そしてそのまま波は船を襲い、粉々に砕け散らした。