□ご主人様とメイドの甘い日常
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《ご主人様とメイドの甘い日常》






「…あ…っ…んぅっ…!」

井上が漏らす甘い喘ぎが、暗い部屋に響く。
俺に組み敷かれた華奢な身体は、俺の指の、舌の僅かな動きにも過敏に反応して。

「…あ、一護…様ぁっ…!」

与えられる甘美な刺激に耐えようと、ふるふると震える身体を捩り、その細い指はシーツにきゅっ…と食い込む。

日中、彼女が綺麗に整えてくれたのであろう俺のベッドが、彼女自身の手で乱されていく様を、俺はニンマリとして見下ろしていた。

「…本当に、感度がいいな…。」
「…そ、そんなっ…っあぁ…!」

…身体は正直ってヤツだ。
俺の台詞を否定しようとした井上の言葉は、俺が白い太ももを撫で上げただけで簡単に乱れて。

そのまま、脚の付け根へと手を這わせれば、既に十分に潤った泉がくちゅり…と俺の指を出迎えた。











…いつから、こんな風になったんだろう。

初めは、ゆっくりだったんだ。

井上と付き合う様になって、しばらくはキスだけで満足していた俺も、次第に我慢が出来なくなってきて。

それでも、井上がこういった方面には極端に免疫がないことは解っていたし、何よりメイドである彼女は、例え内心「嫌だ」と思っていても、俺が望めばそう言えない立場にある。

…だから、本当にゆっくりと。
井上が怖がらない様に、傷付かない様に。

彼女が俺を、心から受け入れてくれる様に。

一気に突き進んでしまいたい衝動に何度となくブレーキをかけながら、少しずつ行為に慣れさせていったんだ。

…けれど。

一度、一線を越えてしまった俺は、まるで石が坂を転がり落ちる様に、井上の身体に溺れていった。
転がる石が重力に逆らえない様に、俺もまた己の中に疼く雄の本能に抗えず。

そもそも、一つ屋根の下で暮らす俺と井上。

高校時代、受験勉強に集中できる様にと与えられた俺の部屋は、他の家族の部屋と離れており、何をしていてもまず解らない。

そんな状況で、最早俺の欲望を止める術など、どこにもなかった。





「…あ、あぁっ…!」

俺の指が、井上の泉の奥へと飲み込まれていく。

びくんっ…と弓なりにしなる、井上の身体。

俺が、差し入れた指を中で動かせば、とめどなく湧き出る蜜がぴちゃぴちゃと水音を立てる。

「…っあ、だめ…です、一護…様っ…ふぁぁっ…!」

その音に羞恥心を煽られた井上は、真っ赤な顔をイヤイヤと左右に振って。
綺麗な飴色の髪をシーツに乱しながらも、その身体を確実に開いていく。

「…何がダメなんだ?こんなに溢れさせて…。」
「…ち、違っ…!…あ、…や、やぁぁ…。」
「素直になれよ…織姫…。」

俺が彼女の耳元でそう低く囁けば、それだけで井上はふるり…と身体を震わせ、俺の指はきゅうっと締め付けられて。

視線をちら…とベッドの下に向ければ、そこに散らばるのは俺と井上の脱いだ服。
くしゃくしゃになって床に落ちているメイド服は、彼女が「メイドの井上」を脱ぎ捨て、「一人の女」になった証。

だから、ベッドの上ではあくまでも「一人の男と女」なのだ…そう知らしめたくて、俺は彼女を名前で呼ぶ。

けれど、彼女にしてみれば、俺が耳元で名前を囁くのは媚薬に勝るとも劣らない効果があるらしい。
その証拠に、彼女の顔に浮かんでいた恥じらいは、俺がその名を呼ぶことでゆっくりと快楽に飲み込まれていくのだ。

「…一護…様ぁ…。」

とろん…と溶けた瞳で俺を見つめる織姫の耳元に再び顔を寄せて。
俺はその柔らかな耳朶を甘噛みし、尋ねた。

「…気持ちいいか?」
「…は…い…。」
「もっと奥まで、欲しいか?」
「…は…い…。」

うわごとの様に呟き、織姫が頷く。
その表情は恍惚としていて、そして俺にどこまでも従順で…。

一気に込み上げる愛しさ、支配欲。

俺は織姫の泉にずっと埋めたままだった指をずるり…と引き抜き、代わりに猛った俺自身をあてがう。

「…あ…。」
「…行くぜ、織姫…。」
「…あ、ふぁぁっ…!」

俺に一息に貫かれた時に見せる、織姫のこの表情が堪らない。
艶めかしいその表情と声に煽られ、俺は欲望のままに腰を動かす。

「…あぁっ!…そ、んなっ…いきなり、…激しっ…!」
「…別に、いいだろ…どうせ、今日もここで寝ていくんだろ…?」

そう…初めのうちこそ、身体を重ねた後、自分の部屋に戻って寝ていた織姫だったが。
今ではそのまま俺のベッドで眠り、翌朝に起きていくのが当たり前になっていた。

…まぁ、ぶっちゃけ俺が一晩中コイツを離したくないだけだけど。
ついでに言うなら、俺に手加減なく抱かれた後の織姫に、起き上がるだけの体力が残ってないって話だ。

「あ…い、一護…様ぁっ…!」
「…愛してるぜ、織姫…。」

俺に突き上げられ、涙目で俺を見つめてくる織姫にそう囁いて。
俺を誘う様に薄く開いた桃色の唇を、俺の唇で塞いだ。


















…という夢を見た。















「あ、一護様!おはようございます!」
「あ、あぁ。その…お…。」
「…はい?」
「あ、いや…おはよう、井上。」
「はい!朝ご飯の支度、出来てますよ!」












(「織姫」って呼ぶとか、ぜってぇ無理だし…。)











夢の中だけなら、いくらでも。



(2014.10.20)
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