日常。

□「輪廻の小さな苦悩」
1ページ/1ページ

「輪廻の小さな苦悩」

日本の空港に着いた。

人間がいっぱい居る。
…苦手だ。

だから、僕は逸れない様に、ママにくっついて歩く。

「歩きにくい」って、言われちゃったから、ママが歩き易い様に、ちょっと離れて歩く。

兄様も、パパにくっついてる。
きっと、すごく頑張ってくっついてるんだろうな。

だって、兄様、人にくっついたり、触ったり、お話しするの、苦手なんだもの。

パパも骸兄様に微笑ってるから、きっと大丈夫。


それより、周りの人間達の(心の)声が、うるさいの。

耳を塞いだって、聴こえてくるから、ちょっと怖い。

ママがそれに気付いて、自分の左半身にしがみ付く僕を、自分の躰に引き寄せて、左耳を塞いでくれる。

…ママの心臓の音、優しい音だ…。
落ち着く。

「大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ。」
『ニコッ』

大丈夫。
ちゃんと、歩けるよ。

世界の人間達が、僕等兄妹の悪口を言っても、パパとママ、母様とお祖母様、ニア兄様に、L兄様とB兄様、ワタリお祖父様が味方なら、僕はちゃんと、歩いていけるよ。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ