vs.キラ

□「ニルヴァーナ」
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「ニルヴァーナ」

「…燃えてるね…」
「嗚呼…」

燃え盛る、廃墟と化した教会。
その内に、唯の煉瓦の瓦礫に成るだろう。

「これって、死体損傷かな?」
「…火葬だろ…」
「…絶対、60W3時間より明るいし長いよね?」
「何だそれ?」
「人間の身体を、燃やした時に出る光を、遠くから観た時の平均。60Wの光を3時間出すんだって…」
「…タメに成るのか、成らないのかよく判らない雑学を…」
「…この世界は、無駄とも言える事で溢れてるんだから…」


「…また、殺した…」
「…」
「…もう、殺さないって、約束、したのに…」
『ぎゅうっ…』
「…お前が直接手を下した訳じゃない。どっちみち、こうなってた。気にするな…」
『なでなで…』
「…俺は…」
「…自分を責めるな…」
「…でも…」
「お前は悪くない」
「…」
「…お前は、悪くない…」




「…来たよ」
「は?誰が…」
「マット兄さん。に決まってるでしょ?」
「…アイツは…」
「生きてるよ」



「お待たせ、メロ」
「…生きてた…」
「メロ?」
『ぎゅっ…』
「おっせぇんだよマット!凍え死ぬかと想っただろ!?」
「ごめんごめん。防弾ベスト着てたけど、肩に銃弾掠ってさぁ…まぁ、マリアに止血して貰ったから、大丈夫」
「…胸のその血は?」
「あ、これ?血糊。マリアがさ、敵を油断させる為に、このベストと防弾ベストの間に血糊袋を仕込んで、当たったら、本物みたいに噴き出すの。でも、肩のは本物」


「そんなに寒かったんなら、ハイドに抱き着いてれば良かったじゃん。それとも、擦る方が良い?」
「何を?」
「ナニを」
『ドスッ…』
「…ってぇなぁ!!何も殴る事無いじゃん!!」
「子供の前でそう言う事言うなって、何度言ったら…」
『『ハッ…』』
『『ちらり…』』
「…あの〜…ハイドさん?」
「…何?用件は手短かに」
「…何か、聴こえました?」
「…俺、兄さん達が喋ってる声、何も聴いてないから…。無線傍受してるし…」
「何処の…」
「日本警察とニア兄さんの処」
「…」
「…」
「あ、そうだ」
「どうしたの?」
「マリアは?」
「マリア?マリアは、車の中で寝てるよ?何時もなら寝てる時間だし、長時間能力使って疲れたんじゃない?」
「…なら、早くテント畳んで。アイツ1人にしとくのも危ないし、止血しても、銃弾が中に残ってたら、膿んだり、色々と面倒だから、病院。道は俺が知ってる。」
「うわぁ…ロボトミーされそう…」
「しないからっ!!普通の病院。事情話して有って、腕も良いし、警察もキラも介入出来無い処だから」
「ハハッ、冗談だって…。ルーチェの息が掛かった病院でしょ?解ってるよ」
「じゃあ、早くテント畳んで。





「…メロ兄さん、マット兄さん、…もう、キラに関わらないで…」
「…」
「…」
「…メロ兄さんがニア兄さんに負けたくないのは、知ってる。でも、これ以上関わったら、殺される…。それは嫌だ…」
「…」
「俺等はこれ以上、兄さん達を危険な目に遭わせたくない」



「…お前等は優しいな…」
「…」
「…。解った。手を引く」
「メロ」
「…今になって、生命が惜しくなったんだ。…死ぬと解ってて、負けると解ってて、勝負する程、愚かじゃねぇんだよ」





東へ車を走らせていると、空が斜陽の様に、赤く染まり出した。
山の黒、雲の灰、星の白、そして朝の緋に追い遣られる様に逃げて行く夜の紺。

暁光だ。








壊れた世界の隅っこで、僕等は空を見上げてる。

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