ROY

□taste
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「いらっしゃいませー」


深夜のコンビニ。


お目当ては、

‘クリスマス!チキン祭り’

で、安くなっているからあげクン。


仕事で疲れたこの体を癒してくれるのは

この、からあげクン以外にあるのだろうか。


・・・っていうのはまぁ、

言いすぎなんだけど。



「からあげクン20個と、チーズ20個と、あとー・・・」


「え、ROY、それ一人で食べるのっ?!!」



突然の声に驚き振り返ると、

そこには



「やばいな、疲れすぎて天使が見える・・・」


「何言ってんの?てか、早くお金払いなさい」



近所に住む

恋人、兼、幼馴染の一人

名前が立っていた。


とりあえずお金を払い、

大量のからあげクンを大切に抱きしめ、店を出る。



「何でこんな深夜にコンビニにいんの?まったく、危ないじゃないですかっ!」


「仕事終わって家に帰ったら、からあげクン食べたくなっちゃった」


「うわ、俺と同じだ」



こんな些細な偶然でさえいちいち喜んじゃうとか、

何俺、超女々しい。


でもさ、せっかく会えたんだし

もうちょっと一緒にいたいって思いますよね、普通。



「じゃあ、またメールするね」


「ちょぉおおっと待ったぁああああっ!!!」



深夜のシャウトに目を丸くさせる名前の肩を抱き

そっと囁く。



「俺の家で、からあげクンパーティーしないかい?」


「・・・ROYって本当、誰かといないと寂しくなっちゃうよね」



まぁ、いいよ と

困ったように笑う名前に思わずキュンときた。


抱きしめたい衝動にかられたが、

公共の場のため、自重。





 ・ ・ ・




「でさ、来たはいいんだけど
からあげクンパーティーって、何す…」


「すいません、トイレ行ってきます」



いちゃつくことしか考えていなかった俺は

トイレで作戦をたてることに。


名前のことだから、きっと

からあげクンさえ食べたら、即帰る気だ。



…本当に付き合っていると言えるのでしょうか、これは。



しかし!


ここで名前の心を解きほぐし

あわよくば身体も解きほぐしちゃう、そう、

それが彼氏である俺の仕事なんじゃないのかい、ROYよっ!



「よし!まぁ、なんとかなるだろ」



アバウトな意気込みだが

持ち前のポジティブさを掲げて、トイレを出た。



…ん?


リビングに近づくと、

かすかに聞こえる名前の声。


「どうしたの名前、俺のこと呼ん…」


「あははっ、それはMARCYくんが違うって!うん、いや、わかるけどね?ははっ、そうそう」



話しかけた俺に気づかず

彼氏の家で、電話続行中な子がいるんですが。


やけに楽しそうなご様子で。



しかも、


ま、まま、まままま…



MARCY…ですとっ?!!!!



「まぁ、それはそれでね、うん…って、ちょ、ROYっ?!!」



名前から強引に電話を奪い、

多分今年で最高の笑顔で言い放つ。



「ごっめーんMARCY、今名前は俺とラブラブ中だから、また後でよろしく☆」



ブツッ…ツー…ツー…



「あ…の、ROY?」


「さーて名前、楽しいラブラブタイムといきましょうか?」



抵抗させる暇も与えず

名前を床に押し倒す。



「MARCYくん、と、電話するくらい…べ、別にいいでしょ?」



うろたえる名前の頬に、

そっと手を這わせた。


無言で、

でも、勿論笑顔は忘れていない。


名前の白い頬が、

さっきからピクリとひきつっている。



「ほら、からあげクン冷めちゃうよ?は、早く食べよう、ね?」



慌てたように言う名前。



そんな涙目で見られたら


もう



「美味しくいただきましょうか」




噛みつくようにしたキスは


大好きなからあげクンの香りと混ざり


何とも食欲をそそるものだった。




まぁ、結局



(いちゃつきたい、だけなのかも)




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