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□#幸せになりたかった話
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「久しぶり」
俺がそういって笑うと、緑間は驚いたように目を見開いた。
そうそう、その顔が見たかったんだ。
「…とりあえず上がっていけ」
「おじゃましまーす」 
#幸せになりたかった話 
4年ぶりの緑間は相変わらず整った顔をしていて、身長も少し伸びていた。


ソファーに座る。
緑間は大学の課題をやっていた様子で、たくさんのテキストがテーブルを埋めていた。
「相変わらず真面目だねー」
「当然なのだよ」
医学に関する難しそうな本たちは、緑間と高尾が離れていた4年――高校1年の冬以降の、空いた隙間そのものに見えた。 
#幸せになりたかった話


何で4年も離れていたかというと、色々事情があるわけで。
「最近どうなの?」
聞くと、緑間は言った。
「大学のサークルで、中高生のときほど一生懸命ではないにせよ、一応バスケは続けているのだよ」
その言葉に高尾の表情は明るくなった。 
#幸せになりたかった話 
魔法のようなシュートは現役だ。


『真ちゃん、お疲れ様ー』
3年生が引退し、新体制へと引き継いだ初試合。
先輩たちが居た頃に比べたら、遙かに反省点の多い試合だった。
『やっぱりディフェンスが甘いね、高さはあるんだけどパワーが』
言うと、緑間も頷いた。 
#幸せになりたかった話 
思えばあの時期が、人生で一番充実していた。


「真ちゃんは彼女とかいないの?」
高尾が茶化すように言う。
「いない…こともない」
それを聞いて、高尾は身を乗り出した。
「マジで!?どんな子!?」
あまりにも意外な答えに熱が入る。緑間は照れくさそうに言った。
「気を使うのが上手い人だ」
「へえ…あの真ちゃんに彼女か」 
#幸せになりたかった話
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