ガラス越しの空
□1.私と彼の出逢い
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ー由元咲樹
私は柔らかい朝の光で目を覚ます。
柔らかいシーツを頬にすりつけて、すぐ横を見る。
すると、気持ち良さそうな顔で彼はまだ眠っている。
寝顔はまるで天使みたいだ。
睫が長くて、形の良い唇は少しだけ開いている。
寝息は一定に整っている。
まだふかい眠りの奥の方にいるのだ。
起きているときも割と子供っぽく見える方だが、こうして寝ている姿を見ると、その思いは格段に強くなる。
その割に…、私は投げ出されている彼の掌に触れる。
この人の手は大きくて、ゴツい。
顔に全く似合わない。
私は微笑ましくて、自然に少し頬が緩んでしまう。
このベッドからはみ出しそうな長身も、なんだかアンバランスだ。
でも彼という人間ときちんと対峙してみると、そのアンバランスさにも納得がいく。
彼の本質は天使でもないし、幼くもない。
このゴツい手で、長身の身体で、一人の男として生きているのだ。
それはもう、憎たらしいくらいに。
…私も、同じだ。
彼みたいに、一生懸命、強かに、生き抜いていこうと、もがいているのである。
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