Paro

□#1 taste
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「いらっしゃいませー。」

オシャレな中年の貴婦人が来店して来た。

「これにするわ。」
と、貴婦人が納得したように言う。





「ありがとうございます。」


「いい店ね、また来るわ。」
最後に貴婦人はこう言い残した。

「はい。お待ちしております。」
彼の声が店内に強く響いた。





手慣れた手つきで綺麗に商品の椅子を並べる。
さっきのハスキーな声の主。

キム・ジョンウン、、、
父親が経営している店の一つの「taste」というシンプルな家具を主に売る店で働いている。
28歳。独身。無造作な黒髪。黒のTシャツに黒のパンツ。黒のスニーカー。胸元のtaste、キム・ジョンウンという白いバッチが映える。シンプルなのにその長身と顔が彼の男前差を出していた。
全身黒を好む彼はあまり人を寄せ付けなかったが、彼の選ぶ一点ものの家具達は人を引き付けた。


しかし、そんな彼にも、人を引きつけるもう一つの顔があった。



ーバラード歌手




「ジョンウン、そろそろ時間じゃないか?」
店長のヒチョルヒョンの声がゲーム音とともに奥の休憩室から聞こえてきた。


「ジョンスヒョンが迎えにくるのでそれまでやります。」

「そうかー。わかったぞー。」

ヒチョルヒョンは、1歳年上で俺より少し背が高い。その上、中性的な顔立ちで女からモテる。しゃべり上手でしかも義理がたく、頑固。なのに、いきなり変なことを言ったり、、、とにかく変な人だ。
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