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□シンデレラコンプレックス
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ここで私の自己紹介でもしておこうか

私は警察本部捜査一課犯捜査係殺人犯主任警部補、鏡野澪、女。
女で主任ということで、多少・・・というよりか、かなりなめられている・・・が。
1つ1つの実績を積みながら、今に至る。
今ではこうして、頼れる仲間に可愛い同い年だが可愛い弟子もいる。
あ、因みに年はまだまだいけるよ23歳。
そしてもう1つ・・・。

―――「お帰りなさい、澪様」

   「お帰り、澪」

「テツは良いけど、・・・如何して何時も征十朗は敬語じゃないの」

羽織っていたトレンチコートを脱ぎ、テツに渡した。

「尊敬出来る所が無い。そして品が無いからだよ。」

「何時ものセリフね。・・・分かってるけど、気に食わない。」

ぶつぶつと文句を言いながら自分の部屋へと向かった。

「レイ様とは全く違うからね。澪は」

「どうせ私は姉とは違う。偏見よ。姉がいいからって妹もいいとは限らない。」

ガチャと、戸を開ける。
テツによって、綺麗にされた自分の部屋を見つめ、改めて姉と私が、いかにどう違うかが分からされた様な気がした。

「鏡野家の人間という事だけを肝に免じていれば良いんだ。夕飯は外食だそうだ。ましな服を・・・いや、テツに選んで貰った方が良い。」

「ましな服って・・・何時も着てるじゃ・・・」

「分かりました。澪様、今日は僕にお任せを」

胸に手を当てペコリと頭を下げる。
何時の間に居たのか、23にもなって、まだ慣れてない様だ。

「では、頼むよ。」

それだけ言うと、涼しい顔で何処かへ行ってしまった。
そう、もう1つは、私が財閥の娘だということ。
それも、かなり上の。
そんな私が刑事だというのは、そんなに悪い事ではないと思うのに。
家族間では少し私は浮いている存在となっている。

姉は今二ューヨークに居て、財閥の跡取り娘として頑張っているらしい。
そりゃあ姉は小さい頃から何でも出来るから気に入られやすく、何時も元気で華やかだ。
・・・まるで黄瀬君の様だと思う。
例えばね、例えば。

「私は、今日の外食はいい。だから違う人誘って」

「・・・え、そんな、違う人なんて居る訳無いじゃないですか。誰を呼べと?」

「ニューヨークからレイ呼んでさ、楽しく食べたら良いじゃん、仲良しこよし。あー、良いねーそれ。」

仕事着から普段着に着替え、ハハハと笑いながら鞄を手に取り部屋を出た。

「澪様ッ」

後ろで声が聞こえたが、私は振り向きもせず、此の家を後にした。
元々、先約があったから、仕方が無いことには変わりは無いのだが。
薄紫色に染まっていく空の下、冷たい風と共に、私の足取りはだんだんと早くなっていった。
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