short story
□甘く溶けて
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『はっくしょんッ…うー。』
「妃芽ち〜ん、大丈夫〜?花粉?」
『んー、わからんな…花粉なのか、ハウスダストなのか…笑』
おはようございます。
ただいま、朝からお雛様を、埃だらけの押し入れから出しております。
「ふ〜ん?」
『うーん〜?…はっくしょんッ…あぅー…』
「しんどそうだね〜。花粉かハウスダストてやつ。」
とゆーと、あっ君はどこかへ行ってしまった。
『どこいったんだろ…お、これで完成だッ…はっくしょんッ…あーもぅ…やだ…』
鼻だけじゃなくて、なんか頭までボーッとしてきた…。
寝ようかな…。
「妃芽ちん。」
ん?と少しだるげに振り返ろうとすると、
あっ君に唇を奪われる。
『…んッ…ふッ…』
すると口の中に
生ぬるい、甘いヨーグルトの味がする固体が
コロンと入ってきた。
「花粉には、ヨーグルトが効くらしいよ〜?」
と、今さっきの行為に
照れる様子はなく
私だけが、わなわなしてしまう。
『お、おいしぃ…///』
わざわざ口移しする意味あったのかと思うと
自分の顔が熱くなる。
口の中の飴は、そのせいでか、すぐに溶けて無くなってしまった。
『ねえ、お雛様も完成できたからさ、みんな呼んでさ〜』
「今日は二人だけで過ごしたいな…」
どどどど、どーしたの?!
今日のあっ君?!
『じ、じゃあ、そうしよっか…?』
「くしゃみ、止まったね。よかった〜」
と言って優しく額に手をあてる
「妃芽ちん、顔真っ赤だけど…熱あるのかな〜?」
『や…///ち、ちがう…』
「じゃあ何?」
絶対わかってるよ!
『あっ君今日は意地悪だ…ね///?』
そう言うと、あっ君は顔を近づけて
「わかってくれたんだ〜。」
『ッ///…はっくしょんッ…あ』
「もう一回する?」
いつのまにか
あっ君の口の中には
飴が入っていて
"しない!"
って言うまえに
『んんッ…ふぁッ//』
また、
されてしまったのだ。
繰り返し、
熱くなって
すぐに溶けて
…また。
しばらくそこで
甘い甘い飴を
味わうことになったとさ。
こんなあっ君も
好きなんだから
仕方ないか…。
end