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□いつか、君と
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プロローグ
私の脳内構成は、やはりどこかで間違ってしまってるのだろうか?
ある日訪れた第2の人生を歩んでいるであろう私は、もしかすると今日からはあろうことか、第3の人生を歩むことになるかもしれないからだ。
アスファルトから放たれる熱気は私には伝わらないが、画面ごしから見えるこの状況は私をとても強く苦しめるものだった。
昔、青春という名の一時を一緒に過ごしただろう彼が私と同じく違う身となって今、私の目の前にいるからだと思う。
視界が眩む程の陽炎が私のはやる気持ちをさらに加速させる。
「コノ…ハ?」
つい口から出てしまった、彼の名前を。
「え…?何て言った?エネ?」
不思議そうに覗きこむご主人とは裏腹に、私は救急車にグタリと倒れている少年とコノハが入っていく寸前まで迷っていた。
"やっと会えた"
そんな言葉が頭に浮かぶ。
今までのこと、どうしてこんなことになってしまったのかを、今すぐ彼に伝えたかったからだ。
そして聞きたい。
今までずっと、
どこにいてたんだ…と。
私はバイブ音をブルッと震わせた。
うわぁ?!と間抜けなご主人の声が聞こえる。
「妹さん!今の人追いかけてもらえませんか?!」
ブルブルと
何度も何度も震わせ続ける。
メカクシ団の人達も、さっきの表情とは違う、強張った顔になっていた。
「え、えぇ?!なんで?!」
「いいから早く…!お願いです…!」
「お、お兄ちゃん?!」
さっきまで鳴かなかった蝉が一斉に鳴き始める。
「どうしたんだエネ?何かあったのか?」
そんなのこっちが聞きたい。
夏の
暑い日差しが照りつけるなか
彼の後を追いかけた。
さっきからずっと
蝉の声が煩わしい。
プロローグ end