小説

□君にできること
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「フラッシュ。あのさ、でーとしよ。」







一瞬イヤーパーツの不調を疑った。
「どうかしたのかよ…兄機。」

そういえば、俺達は恋仲なのに、いつも2人きりの部屋でいちゃつく位しか恋人らしいことはしていなかった。
そんな中で俺より小さな兄からの突然のお誘い。ビックリするのも仕方ない。
「あのね、俺…フラッシュと2人きりでショッピングしたい!」
クラッシュはガシッと俺の腕を両手で掴む。

かわいい…そして…嬉しい。
俯いて表情を隠そうとするが、体の震えが止まらない。
「フラッシュ…嫌?」
クラッシュが無垢な瞳で俺の顔を覗きこむ。

「…んな訳ねーよ!お前からの誘い、嬉しいに決まってるだろーが!」

クラッシュをぎゅっと抱きしめた。
「フラッシュ〜苦しいよ〜!」
「わりいわりい。いつ見てもかわいいからな…お前は。」
クラッシュのメットにちゅっ…と軽いキスをして、俺とクラッシュはお互いの目を見つめて笑った。



クラッシュが選んでくれたデート先は、まだ戦闘用の機体として完全ではなかった頃、俺とメタルとクラッシュとで買い物をしたショッピングモールだった。
「うわー!ひっさしぶりー!」
隣ではしゃぐクラッシュは、ハンドアームをブンブン振り、あのときと変わらない目をしていた。
「まず何処からまわるか?」
ショッピングモールの地図が載ったパンフレットを眺めながら問いかける。
「んー、おもちゃ屋に…本屋に…フードコートも見たい!」
「わかったわかった。順に廻っていこうな。」


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