めいん

□寂しがり
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『寂しがり』

その1
目的とか行き先なんて無かった。ただなんとなく外に出たくて午後11時俺は寝間着姿のままとぼとぼと月明かりに照らされた夜の道を進んでいる。


身体が小刻みに震えるさすがに薄着過ぎたかもしれない。


はあ…と息を吐く

白いそれが顔を覆い静かに消えて
吸い込んだ空気は冷たくてなぜか無性に悲しくなった。


歩く歩く歩く
ゆっくり、ゆっくり
ひたすら歩く

特に何も考えないでただ足を動かす
足はただ右左と機械的に進む



「伊月……?」


どことなく声が聞こえた。それは望んでいた自分より少し低めのごつごつしたあの人の声。片手には缶の飲み続けのコーヒーがあった。


「日向」


俺も呼び返すついでにこんばんはと軽く挨拶もした。どうやらここは日向の家の近くらしい…無意識とは怖いものだ

取りあえず寒いから中入れ手が冷たすぎる俺の手を大きなその手が包みそのままあいつ家に引きずり込まれた。丁度家族は全員出払っているらしく誰も居なかった

幸いケータイを持っていたので姉に一言メールを送った。いきなり消えてたらさすがに驚くだろうし


中は外と比較にならないくらい暖かくてこんな格好でも寒く無かった

そっと差し出されたココアはそっと一口含むと異様の甘さで舌が痺れたのでくっと全て飲み込んだ。一体どのくらい砂糖を入れたのだろう…

けれど不思議と口に残った甘ったるい感覚はそんなに嫌じゃ無かった。


「一体何してたんだあんなところで」


日向は俺が座っている場所の線対象の位置に座り俺の目を見つめてくる。じっと俺だけをみる双方の目玉は心配の色を映し出していた


「別に日向が心配するような事じゃないよ。ただ何となく……」


まぁ言うなれば


「本能的に日向に会いたくなった」


「なんだそれ」


くすりと笑う日向は何だかいつもより大人びて見えた。そう言えば髪が少し伸びた気がするもう金髪にするのは止めて欲しいな…あれこいつこんなイケメンだったけ

「……」

俺が気付かなかっただけかな、また背伸びた気がする

「……き」

あぁ日向の家に上がるのは何週間ぶりだろう…

「…づき」

最近二人きりでこんな風に日向といるの少なくなったな…一年の頃はもっとあったのに…でも俺らもう二年だし日向なんてキャプテンだし


「伊月?」




「お前何で泣いてるんだ?」




はっと我に帰り頬に手をやるとそこには日向の言う通り透明の液体が自分の目玉から止まることをせずただ流れ続けていた

「あれ……おかしいな…こんな」


笑ってごまかしながら急いでそれを拭うごしごしとけれど何をしても止まらない

なんでだよ………

俺はそう呟いた


胸がいたい、いたいの
俺にはこの感情が解らないよ
ねぇ貴方はこの正体知ってる?

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