4バカシリーズ

□夢見るバカ
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「誕生日おめでと。」



手ぶらで小春の家に来たみやが、しらーっとそう言ってベッドに座る。



「本当になんでも言うこと聞いてくれんの?」



「・・・・・・・・・誕プレそれが良いって言ったの誰だっての。」



「それは小春だけどさ。」



まさか、みやが本当にそんな誕プレをくれるなんて。
だって小春が普通の人がするみたいに可愛い『願い』を言うわけないことは、みやが一番わかってるはず。



「好き勝手するけどいいの?」



いつものニヤニヤ顔でベッドに腰かけてたみやを押し倒す。
大した抵抗をしなかったみやは、ベッドに体を沈めると小春の首に腕を回してきた。



「・・・・・・・・・勝手にしろ。」



なんだこいつ。
今日はやけに可愛いじゃん。
抵抗されまくるのも良いけど、たまにはこうやって大人しいのも良い。



「じゃあまず両手バンザイして。」



「バンザイ・・・?・・・・・・はい。」



「ん、おっけ。」



素直に両腕を上げたみや。
そんなみやの腕を、小春が着けていたネクタイで縛る。
その瞬間、みや顔がだいぶひきつったけど、抵抗されないうちにみやのネクタイを外して目隠しをした。



「ちょっ・・・やっぱ止め!こんなん嫌だ!!」



「何言ってんの。今更遅いって。」



既に小春は興奮してんだから。
本当に前からみやは抱いてみたいと思ってた。
絶対相性良いもん。



「いっぱい愛してあげるよ。」



「・・・・・・っ!」



耳元でそう囁くだけでビクッと反応するみや。
普段のみやは知らないけど、多分視覚が遮られてるからいつもより感度がいいはず。



「誕プレ、いただきます。」



――――――――――――――



「って夢を見たんだけど。」



「・・・・・・消えろ変態。」



やっぱりリアルではあんなみや有り得ないよね。
途中から怪しかったもん。

今日は小春の誕生日。
3人ともうちに来てくれたんだけど、ちぃが誕プレ忘れたとかできっかと家に取りに帰って今はみやと二人きり。
マリカーで対戦してる。



「あーあ、夢の中のみやは可愛かったなぁ。」



「・・・・・・・・・黙れ。」



「すごい可愛い声で鳴いてたよ?」



「・・・・・・・・・うっさい。」



「・・・・・・てかさ、みやゲーム弱すぎ。」



さっきからずっと負け続けてるんだけど、この人。
こんなに必死なのに負け続けてるんだけど。



「っ、うるさい!小春が強すぎんだよ!」



あ、レース投げ出した。
床に座ってたみやは、小春のベッドに寝転がって布団を被る。

・・・・・・あれ、もしかしてこれ誘われてる?



「みーやびちゃーん。」



「・・・・・・上に乗るな。」



ありゃ、違ったか。
大人しくみやの上から退いてベッドに腰かける。



「あのさ、誕プレは?」



そこで思い出す。
みやから誕プレを貰ってないことを。
ちぃは今取りに帰ってるから貰ってないけど、きっかからは貰った。
つまりもうくれててもいいはずで。



「・・・・・・・・・何が欲しいの。」



こいつ、忘れてたな。
バカな親友は気まずそうに訊いてくる。
これはチャンスかな?



「小春の言うこ「小春の言うことなんでも聞いてとか言ったら殴る。」



・・・・・・釘さされた。

んー・・・・・・まぁ、たまにはまともなお願いでもしてみますか。



「ずっと小春と友達でいて。」



そう言うと、みやがびっくりしたように目を合わせてくる。



「なに?」



「・・・・・・いや、小春ってまともなこと言えるんだって。」



「やっぱりみやからのキスがいい。」



人のことなんだと思ってるんだ。
そう思いながらしてくれるはずもない願いを言ってみる。
いつも小春が勝手にしてるだけだからね。



「・・・・・・・・・・・・ずっと友達に決まってる。」



お、デレた?
とか思ってからかおうとした瞬間、唇に柔らかい感触。
目の前には若干赤い顔で目を瞑ってるみや。



「・・・・・・・・・なんで顔赤いの?」



「・・・・・・・・・友達にするのはいつもとちょっと違うから。」



「でもさ、誕プレがこれとか恋人みたいだよね。」



「・・・・・・・・・友達。」



「付き合っ「付き合わないっての。」



小春は良い友達を持ったと思うんだ。

バタバタ慌ただしく部屋にあがってきたちぃときっかを見て、更にそう思った。



end

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