FE暁の女神

□遠目で見ていたって。 ライ
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唐突だが私はモブだと思う。
自分の中ではもちろん私が主人公だろう。だって私の中だから。
でも世界から見た私はとてもちっぽけな存在で。
その中で、私が見ている世界でもちっぽけな存在で。
私が恋をしても、結局は実らないものだと確信している。
まあ、そんな私で好きな人というものはいるわけで。実らないのがわかっていると思っていてもどうしても諦めきれない。
きっとこれは恋煩いというのだろう。

だが考えてみてはどうだろうか。
ゲームの世界でモブとモブが結婚するとしよう。
特に主人公たちには影響はない。淡々とゲームを続けていくのみだ。
ところがどっこい…ところがどうだ。
主人公…まではいかなくとも主人公の仲間がモブと恋に落ちてしまったら。
それはそれで旅に支障が出る気もするのだ。
いや。それがモブの、モブの一方的な恋だったら困りはしないさ。

私の恋はちょうどモブの一方的な恋。
だから叶わない。まず、私はあの人、ライさんと話したこともないのだ。
きっかけもない。

私が惚れた理由は、ちょっと前に井戸の水を汲みに行った時に町の近くまで来ていたのを見た。
綺麗だ。と、ただそう思った。
あの人の青が。風になびく髪も、全て、美しいと思った。
このことを知人に話そうというものなら馬鹿にされるどころか、気が触れたのではないか、と言われそうだ。
相手はラグズで私はベオク。私には何が違うのかがわからないのだが、皆にとっては大違いなのだろう。

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