夢
□恋する乙女は夢をみる
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「好きです」と伝えると、彼は困ったような顔をした。
「ナナバさんが、好きなんです。」
もう一度、今度ははっきりと告げる。彼はますます困ったような顔をした。
「その、私はまだ・・・・」
「わかってます」
「・・・え?」
わかってるんです。そんなこと。貴方が私をそういう対象としてみてないことも、今は付き合うとかそういうことは全然考えてないことも。ただ、伝えておきたかったんです。・・・いつ死ぬかわからないから。
私の長々とした告白を聞いて、ナナバさんは溜息を吐いた。そんな憂いを帯びた表情も素敵だと思えるのは、きっと私が彼を愛しすぎているからなんだ。好き、じゃなくて愛してる。言ったらきっと怒られるから言わないけれど、私はナナバさんに殺されてもいいし、ナナバさんの為に死んでもいいと思ってる。
「・・・・・あのね。私はまだ君の気持ちにはこたえられないよ」
「・・・・はい」
「・・・でも、死なないでほしい。いつ死ぬかわからないから、なんて言わないでほしい」
「!・・・・はいっ!」
「うん。いい返事だね」と彼は笑って私の頭を撫でた。ああ、彼は優しすぎる。こんな私にいつも迷惑かけてばっかりの私に優しくしたりして・・・・お願いだから、これ以上好きにならせないで。愛する分つらくなるから。