□恋する乙女は夢をみる
1ページ/1ページ


「好きです」と伝えると、彼は困ったような顔をした。

「ナナバさんが、好きなんです。」

もう一度、今度ははっきりと告げる。彼はますます困ったような顔をした。

「その、私はまだ・・・・」

「わかってます」

「・・・え?」

わかってるんです。そんなこと。貴方が私をそういう対象としてみてないことも、今は付き合うとかそういうことは全然考えてないことも。ただ、伝えておきたかったんです。・・・いつ死ぬかわからないから。

私の長々とした告白を聞いて、ナナバさんは溜息を吐いた。そんな憂いを帯びた表情も素敵だと思えるのは、きっと私が彼を愛しすぎているからなんだ。好き、じゃなくて愛してる。言ったらきっと怒られるから言わないけれど、私はナナバさんに殺されてもいいし、ナナバさんの為に死んでもいいと思ってる。


「・・・・・あのね。私はまだ君の気持ちにはこたえられないよ」

「・・・・はい」

「・・・でも、死なないでほしい。いつ死ぬかわからないから、なんて言わないでほしい」

「!・・・・はいっ!」

「うん。いい返事だね」と彼は笑って私の頭を撫でた。ああ、彼は優しすぎる。こんな私にいつも迷惑かけてばっかりの私に優しくしたりして・・・・お願いだから、これ以上好きにならせないで。愛する分つらくなるから。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ