夢3

□不知火と歪んだ関係
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※不健全な感じ。

不知火とこういう関係になったのはいつからだったか。服装の乱れを直す不知火の背中を見つめながら、私はいつもと同じように不知火への罪悪感で胸がいっぱいになっていた。私より幼い彼女とこんな関係になってしまったこと、私が彼女自身をちゃんと見てあげることができていないこと、そんな自分のどうしようもなさが毎回嫌になる。自分より大分小さな背中に寄り添うようにして「ごめんなさい」と呟いた。謝罪の言葉だけで許されるような事では無いと知っているけれど、言わずにはいわれなかった。「ごめんなさい・・・。ごめんなさい不知火」「・・・・・司令」不知火は身体の向きを変え、私の肩にそっと手を置いた。「これは不知火が望んだことですから、司令は気に病む必要はありません」この言葉はもう何回も聞いた。私が謝罪の言葉を口にするたび不知火はこう言ってくれるけれど、「はい。そうですか」なんて気持ちには絶対なれない。これは不知火が望んだことじゃない。私が望んだことだ。恋してはいけない相手に恋をした私が、どうしようもない寂しさや虚しさを紛らわすために代わりを求めて、そこにたまたま不知火がきてくれただけ。彼女は罪深い私の被害者なのだ。それなのに彼女は私を責めず、むしろ私の汚さまでも受け入れてくれる。彼女は、不知火は、優しすぎる人だ。「・・・・・これは、不知火が望んだことじゃないわ。私が・・・私が貴女を私利私欲の為だけに利用しているだけ・・・・ごめんなさい。本当にごめんなさい・・・・・・っ」「・・・・・・・・・・・・・・・」不知火の手が、私の肩を離れた。「司令はいつもそうですね。自分勝手で、悲劇のヒロイン気取り。不知火の言葉も少しは聞いてください」・・・悲劇のヒロイン気取りに、自分勝手。その言葉は私の胸にずぶりと突き刺さった。「・・・・そう、ね。私は勝手に自分が可哀想だと言ってるのよね」不知火を利用して心を痛める可哀想な私、そう言っている様なものだ。それに気づいてしまうと自分の身勝手さを思い知ってしまい、思わず俯いた。不知火はそんな私を見て、ため息をつくとそっと私の右手を握った。「・・・・・・・不知火?」「ですから、不知火の言葉も少しは聞いてくださいとお願いしたはずです。・・・・・・・・・司令は確かに可哀想ですよ。不知火にいいように利用されても、自分が加害者だと思い込み、心を痛める可哀想な人・・・。ねえ、司令。すべて不知火のせいにしてください。不知火に無理やりさせられているのだと思ってください。貴女は逆らえないのだと。不知火が恐ろしいから逃げられないのだと・・・・・・そういうことに、してください」「しら、ぬい・・・」「ね、司令。不知火を悪者にすれば苦しくないでしょう。だからずっとこうしていてください。不知火の傍に・・・・ずっと・・・・・・・」私の右手を握る、不知火の左手が僅かに震えていた。
 

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