Treasure

□いつの間にか
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“ただの幼馴染み”ずっと、そう思っていたんだ。



〜いつの間にか〜


「周助ー!休憩入ったんでしょ?文化祭一緒に回ろうよ!!」
「真実!?」

男子の控え室のドアを勢い良く開けて入ってきたのは、僕の幼馴染みの真実。

あぁ、ここにいたのが僕一人で良かった。

「真実、ここ一応男子の控え室なんだけど…」

「えー?でも周助しかいないよ?」

「それでもノックくらいしてよ」

「はっ!」

「…今度は何?」

真実を見ると、鼻を手で押さえながら何やらゴソゴソしていた。

このパターンは…。


「周助のギャルソン姿マジきたこれ!発案者GJ!!写メ撮っていい!?」

「……はぁ、いいよ」

「…えっ!?いいの!?」

「うん。今日だけ特別ね」

「やったー!はい、チーズ!!」

掛け声と共にフラッシュが光る。

どうしてだろう、いつもなら断るのに今日くらいは良いかなって思ったんだ。

「フッヒヒヒ…」

「ほら、一緒に回るんでしょ?時間なくなるよ」

「え?回ってくれるの?」

「嫌なら別にいいけど」

「いいえそんな、滅相もございません!ぜひお願いします!!」

気のせいかな、慌てる真実が少しかわいく見える。

「じゃあ、着替えるから出てってよ」

「どうぞ私のことはお気になさらず!着替えてくださいませ!」

「その構えてる携帯真っ二つにしていいかい?」


「すんませんっしたー!」



言いながらそそくさと出ていった、やはりこれが一番効くらしい。






…それにしても、参ったな。







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