Treasure
□ずっとずっと
1ページ/2ページ
離れても、心は繋がってる。
〜ずっとずっと〜
「あー、もうわかんない!」
「どこ?見せて?」
「んー、ここ」
中学三年の冬休み。
受験生の私たちにとって、休みがないと言うのは本当だった。
今だって、私の部屋で勉強会の真っ最中。
って言っても周助は内部受験で高等部に行くから、ほぼ決まってるようなもの。
今日は私の勉強を見てくれてる。
「だからこうなって、って、聞いてる?真実」
「えっ?あ、うん。聞いてる聞いてる」
「嘘つかないでよ。ほら、もう一回説明するからちゃんと聞いてて」
「…はーい」
私は通いなれてる青学を離れて、別の高校に行くことに決めた。
本当は周助と青学に通いたいけど、自分の夢も叶えたい。
迷ってるときに背中を押してくれたのも、周助だった。
でも、不安がない訳じゃない。
新しい生活に、何より今までみたいに会えなくなる。
「…真実?どうしたの?」
「えっ?」
「さっきから眉間にしわ寄せて、暗い顔して。疲れちゃった?少し休もうか」
「……ねぇ、周助」
「何?」
「…周助は、さ。私と離れて不安になったりとかしないの?…わっ!?」
腕を引っ張られて、気が付けば周助の腕の中に居た。
何だか、こうやって抱きしめられるのもひさしぶりだ。
「…不安じゃないって言ったら、嘘になる。君が外部受験も考えてるって聞いたときだって、本当は止めたかったんだから」
「じゃあ、どうして…」
初めて聞いた、周助の気持ち。でもそんなふうに思ってくれてるなら、どうして止めなかったんだろう。
「信じてるからだよ」
「信じる?」
「そう。たとえ離れても、僕には真実だけで真実には僕だけだって、信じてるから」
「あ…」
そうか、私に足りなかったのは信じる気持ちだ。
好きな人だからこそ、信じなきゃいけないのに。
「ありがとう、周助」
「うん。ほら、あともう少しだから一緒に頑張ろう」
「うん」
本当にありがとう、私も信じるから。
一緒にいよう
(応援してるから、絶対大丈夫)
(うん!)
→