Treasure

□ずっとずっと
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離れても、心は繋がってる。
〜ずっとずっと〜


「あー、もうわかんない!」


「どこ?見せて?」


「んー、ここ」


中学三年の冬休み。

受験生の私たちにとって、休みがないと言うのは本当だった。
今だって、私の部屋で勉強会の真っ最中。
って言っても周助は内部受験で高等部に行くから、ほぼ決まってるようなもの。


今日は私の勉強を見てくれてる。


「だからこうなって、って、聞いてる?真実」


「えっ?あ、うん。聞いてる聞いてる」


「嘘つかないでよ。ほら、もう一回説明するからちゃんと聞いてて」


「…はーい」

私は通いなれてる青学を離れて、別の高校に行くことに決めた。
本当は周助と青学に通いたいけど、自分の夢も叶えたい。

迷ってるときに背中を押してくれたのも、周助だった。

でも、不安がない訳じゃない。
新しい生活に、何より今までみたいに会えなくなる。


「…真実?どうしたの?」


「えっ?」


「さっきから眉間にしわ寄せて、暗い顔して。疲れちゃった?少し休もうか」


「……ねぇ、周助」

「何?」

「…周助は、さ。私と離れて不安になったりとかしないの?…わっ!?」

腕を引っ張られて、気が付けば周助の腕の中に居た。

何だか、こうやって抱きしめられるのもひさしぶりだ。

「…不安じゃないって言ったら、嘘になる。君が外部受験も考えてるって聞いたときだって、本当は止めたかったんだから」
「じゃあ、どうして…」

初めて聞いた、周助の気持ち。でもそんなふうに思ってくれてるなら、どうして止めなかったんだろう。

「信じてるからだよ」

「信じる?」

「そう。たとえ離れても、僕には真実だけで真実には僕だけだって、信じてるから」

「あ…」

そうか、私に足りなかったのは信じる気持ちだ。
好きな人だからこそ、信じなきゃいけないのに。

「ありがとう、周助」

「うん。ほら、あともう少しだから一緒に頑張ろう」

「うん」






本当にありがとう、私も信じるから。
一緒にいよう

(応援してるから、絶対大丈夫)
(うん!)















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