Treasure
□桜咲く
1ページ/3ページ
君との出会い、私はずっと覚えてる。
〜桜咲く〜
「わぁ、綺麗だね」
「うん、そうだね」
ある日の休日、彼氏の周助と近くの公園まで桜を見に来ていた。
まだ満開とは言えないけど、かなりの数の桜が咲いている。
「満開になったら、お弁当でも作ってお花見したいね!」
「……」
「…周助?聞いてる?」
「あぁ、ごめん。ちょっと思い出してたんだ」
「思い出してた?何を?」
今日何かあったっけ?なんてことを考えていると、繋いでいた手にぎゅっと力が込められた。
「君との出会いだよ」
「私?…あぁ、あの時のことね」
「うん」
まだ今よりずっと幼かったあの頃、私達は出会ったんだ。
「えっと…。どっちだっけ?やだ、迷っちゃった」
「君、新入生?」
「えっ、あ、はい!そうです!」
青学に通うために引っ越してきた私は、学校までの道程をあまり覚えていなくて。
見に迷ってるときに声をかけてくれた人、それが周助だった。
「僕もなんだ。見たところ迷ってるみたいだけど…。もし良かったら、一緒に行こうか?」
「えっ!?…あ、えと、……た、助かります」
「クス、じゃあ行こうか」
あの時は、周助のあまりの大人っぽさにてっきり先輩だと思ったんだよね。
そのまま学校に行けば偶然にも同じクラスで、お互い驚いたのを今でも覚えてる。
席も近かったから仲良くなるのにもそう時間はかからなくて、そのまま自然な流れで付き合い始めて早数年。
今思えばあれが運命だったのかななんて、この人じゃなかったらこうやって今も隣にいることなんてきっとなかった。
「…ねぇ、真実」
「ん?」
「ここでもう一度、言わせてほしいんだ」
「…何?」
周助が私と向き合ってぎゅっと両手を握る、私も開眼してる瞳をじっと見つめた。
「真実、好きだよ。君のこと、ずっと愛し続けるから」
「周助…」
あの日の言葉と同じ、たまらなくなって周助の胸に飛び込んだ。
ぎゅうと痛いくらいに抱き締めてくれるその腕が愛しくて、涙が出そうになる。
「私っ、私も、ずっと愛してる」
「うん、ありがとう」
胸に顔を埋めたまま言えば、優しく髪を梳いてくれた。
ずっとずっと、君のそばに。
ひらりひらり(来年も二人で来よう)
(うん!あ、でもその前にお花見!)
(うん、二人でしようか)
→後書き