明日の未来(リアル)

□2話「出来事」
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ホームで電車を待つ彩香とチカ。

「チカってどこに住んでるの?」

「え!?、えっと…、あ、この近くに住んでるの」

「へー、そうなんだ。私もこの近くなんだ」


彩香が質問する度になぜか戸惑うチカ。

そもそもチカってどうゆう字なんだろ…。そう言えば苗字も聞いてないような…。


【間もなく、1番線に東陽町(トウヨウチョウ)行きが参ります…】

ホームに強い風が吹く。


警笛が鳴り響き、青と水色のラインの電車が入ってきた。


ゆっくり止まり、ドアが開く。

彩香とチカは進行方向左側のドアの近くに座った。


【間もなく、東陽町行き、発車しまーす】

ドア閉まろうとした時、隣の車両に一人の男の人が飛び乗った。

電車は一旦ドアが開き、また閉まる。


そして、ゆっくり走り出した。


男の人は息を切らせて手を膝に付いていた。

しばらくして、回りの人に頭を下げ、座席に座った。


「駆け込み乗車してくるなんて危ないなぁ…」

「うん…でもあの人、ものすごく急いでるみたいだよ」

隣の車両にいるからあまり見えないが、確かに急いでいるみたい。


彩香は、話を戻した。

「九段下に何か用事?」

尋ねるとまた戸惑う。


「ま、まあそんな感じ…かな…?」

「感じ?」

「え…、い、いや…、その…」


やっぱり、何かおかしい…。

ここは思いきって聞いてみようと思った。

「ねぇ、チカ!」

「あ、はい!」


思わず言葉に力が入ってしまった彩香。

チカもビシッとなる。


そのせいで二人の間に妙な空気がしばらく流れていた…。


とても…気まずい…。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【全捜査員、二人組の男に警戒せよ!】


無線機に大内管理官の声が響く。

竜神から二人組から自分の所まで約15メートル。


他の捜査員より竜神が一番近くにいた。


自分が真っ先に二人組とアタッシュケースの確保。


…一気にやるのは難しい。

優先としてアタッシュケースが優先にしよう。



…2分後、

一人の男が電話をかけた。

もしかして、仲間と連絡しているのだろうか…。


すると、そこに全速力で走って来る男が来た。



「な、なんだアイツ!?」


走ってきた男は、電話をかけていた男にぶつかってしまった。

その衝撃で二人とも倒れる。


走ってきた男はすぐ立ち上がり、駅の中へ消えて行った。

倒れた男に目線を向けると、男の前に拳銃が落ちていた。


【管理官っ、男から拳銃がっ!】

【何っ!?、全捜査員、確保だっ!!】


その言葉の前に竜神は身体が動いていた。


男はハッとして、急いで拳銃を拾うとする。

竜神は、倒れた男に飛び掛かった。


「ぐっ…!?、な、なんだてめぇ!?」

「警察だっ!、銃刀法違反で現行犯逮捕だっ!」

「く、くそっ!」


必死に抵抗する男。

もう一人の男は他の捜査員に取り押さえられ、アタッシュケースも回収した。


捜査員が恐る恐るアタッシュケースを開けてみる。



中身は、爆発物らしきものはなかった…。

あったのは、紙一枚…。


竜神も男を取り押さえながら、その紙を見た。


書いてあったのは…、


【ご苦労さん、これはハズレ〜】



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「まさか、…誘拐…!?」


焦る淳志。

まさか、由香理が誘拐されたのか?

あの様子からだと…、そんな感じに思えた。


「どうする…、どうすんだ…、俺…!」


一人でぶつぶつ言う淳志。

ふと思い出したのが、由香理が言っていた言葉。

【表参道…!、…地下鉄!】


「表参道に何かあるのか…」

とにかく、居ても経ってもいられなく、JRの改札へ向かった。


途中で男の人にぶつかってしまった。

「あ!、すいませんっ!!」

急いで立ち上がり、駅へと走り込む。

表参道に行くならJRに乗った方が早いと淳志は思った。


…が、ここでトラブル発生。

どうやら高田馬場駅から二つ先の新宿(シンジュク)駅で人身事故が起こった。

その影響でJRが止まっている。


「なんだよ…!、こっちは急いでんのに…!」

仕方なく、地下鉄で行くことにした。

ダッシュする淳志。

人を押しのけ、階段を駆け降りる。


地下通路を走り、地下鉄の改札をICカードで通る。


【間もなく、東陽町行きが…】

ホームからアナウンスが聞こえる。


ヤバいと思った。


階段を一気に降り、ホームに止まっていた電車に飛び乗った。


…ギリギリセーフ。


手を膝につくほど息を切らせていた竜神。


顔を上げると回りからの冷たい視線…。


「す、すいません…」

小声で謝った。

周りを見ると一つ座席が空いていたので、そこに大人しく座った。



電車はゆっくり発車していった…。
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