明日の未来(リアル)

□5話「危機と目的」
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「…、…?」


彩香は目を開いた。


どこかの部屋に連れて込まれたらしい…。



あのあと、チカを必死に守ろうとしたが、気絶させられた。


ロープで壁に縛られていて、口も縛られていた。


「…!、…!」


身動きが取れない彩香。


彩香は辺りを見渡す。



書棚にたくさんの本があった。

どれも難しい本ばかり。


いくつかの本に【ウイルス】【爆弾】と言う文字が目に入った。


…もしかして、ここは犯人のアジト…?


ウイルス、爆弾、…何か非常にヤバい感じがした。



すると、隣の部屋から声がしてきた。


「英斗さんっ、もういい加減にしてください!!」


どこかで見覚えのある声。

銀座駅で会ったあの人の声だ。


「まあまあ、落ち着けよ阿蘇(アソ)」

「落ち着けるかっ!、何でライナーを殺した!?」

ますます声がでかくなる。


「阿蘇、とりあえず落ち着け。…お前もアイツみたいになりたいのか!?」

「クッ…!!」


言い争いが終ったのかそのあとは静かになった。


「そろそろ行く。明日のリアルの為にな…」

「…」

「阿蘇、お前も来るか?」

「…ここに残る。人質もいるし…」


そういうと、足音が遠ざかる。そしてドアの閉まる音がした。



彩香はただずっとおとなしくしていた。


チカ…、大丈夫かな…。


そればかり、気にしていた。



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浅草から地下鉄新橋線に乗り、日本橋へ。

日本橋から東陽線に乗り換える。


日本橋から飯田橋(イイダバシ)まで戻ってきた。


電車から降り、走る竜神。

ライナーの電話のあと、大内管理官から連絡があった。

【四ツ谷で永谷の娘さんが目撃された】


竜神は犯人逮捕よりも陽菜を守ることを第一優先にしていた。


階段を駆け上がり、連絡通路を走り、また階段を駆け降りる。


ホームに王子線が入って来る。


ドアが開き、飛び乗る。



「陽菜…!、必ず助ける…!」


竜神はポケットに装備してある拳銃に手をやり、いつでも構えられる状態にした。



四ツ谷に着く竜神。


すると目の前に白い車が目に入る。


竜神は直ぐさま車に近づき、警察手帳といきなり拳銃を取り出した。


「動くな!!、警察だ!!」

それに驚く二人の男。乗っていたのは、水天宮線で見掛けた男たちだった。


両手を上げる男たち。


そして、その場に次々と警察車両が来た。

捜査員も降りて来て、白い車を囲った。


車から出される男たち。


竜神は詰め寄った。


「おいっ、…陽菜は、永谷陽菜はどこにいる!!」


男はある建物を指差した。

その方向を見ると、黒煙が立ち上る四ツ谷大学付属高等学校だった。

消防車が何台も止まっている。


「どこだ!、あそこのどこにいるんだ!!」

「は、離れにある、第六実験室に…」


その言葉を聞き、竜神は高校へと走り出した。


他の捜査員に制止を呼び掛けられたが、そんなものは竜神の耳には入らない。


竜神は無我夢中で走った。



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淳志は副都心(フクトシン)線に乗っていた。


残るは渋谷に仕掛けられてる爆弾のみ。


それを防げれば…。


淳志はとにかく、ずっと先を見ていた。





渋谷に着く淳志。


電車から降り、目の前にある階段を駆け上がった。


その時、目の前が突然、赤くなった。

爆音と共に身体が一気に吹き飛ばされる。


淳志はホームの地面に叩きつけられた。


何が起きたのか、全く理解出来なかった淳志。


視界が霞む…。ピンとが合わない…。


何となく、白煙が辺りに立ち上っているのが分かった。


「…クソ、…間に合わなかった…」


地面に拳を叩く淳志。


悔しさばかり心に残っていた。



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新橋線に乗っていた由香理と志帆。


窓が一気に明るくなる。

地上に出た新橋線。

外は明るいとおもいきや、薄暗い雲に覆われていた。


電車が渋谷駅に着く。


ドアが開き、降りようとした時、突然爆発音がした。
爆弾音と共に辺りが揺れた。


思わず、びっくりする由香理。

「い、今って…!?」


志帆の表情が険しくなる。


何も言わずに、改札を出て一気に駆け降りる。


由香理も志帆についていく。



何か嫌な予感がしていた。…それもかなり最悪な…。
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