その男、人でなし

□第19箱『嫌いじゃねーぜ』
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雲仙先輩が生徒会室へ喧嘩を売りに行って。

止める謂れのない俺は、生徒会室がある校舎とは別の棟の屋上で地上を眺めていた。ちなみに袖は理事長室にご飯を食べに行った。いや、冗談とかじゃなく。

俺の視線が向いているのは、地面じゃなく、とある一室。校舎の一階に設けられたその部屋は、俺が足繁く通っていた生徒会室だ。
今頃、雲仙先輩とめだかちゃん達が対話しているところだろう───と、思うと同時。
───ドォン!! そんな音を立てて、生徒会室が爆発した。



「始まった、か」



雲仙先輩とめだかちゃんの話は『零距離(ペネトレイト)』で聞いていた。

怪物同士で、化物同士で、似た者同士。鏡写しさながらにそっくりな二人は、しかしながら左右逆ゆえ相容れない。
上から目線性善説のめだかちゃんと、見下し性悪説の雲仙先輩。向かい合った二人が同じ方向を向くことなどない。反対側を向く二人が、相容れることなど永遠に。

───そしてそれは、俺も同じだ(・・・・・)



「見せてもらうぜ、雲仙冥利。お前の正義ってやつの行く末をな」


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