キリリク小説
□1111番 土沖 甘々?
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「ふぁ〜あ。」
「なんだ?ねみーのか?」
暖かい日差しのせいか、先程から欠伸が止まらない。
今日は警邏の休憩中に土方さんと団子屋に来ている。相変わらず土方さんは折角の団子をイヌの餌にしちまって、周りのお客はドン引き状態であった。
「あんた…また、そんな食べ方して…団子屋の主人に悪いとは思わないんですかィ?」
そう言うと煩そうに顔を歪め、
「この味の素晴らしさが分からないとは嘆かわしい。」
と言って団子をほうばる。
団子を食べおえ、お茶をすする。
「そろそろ、仕事に戻るぞ。」
「へ〜い。」
土方さんが立ち上がると、何処からともなく土方さんを呼ぶ声が聞こえた。
「土方様!」
声の主の方に目をやると二人の若い女性が土方さんの方へと嬉しそうに駆け寄る。
「土方様〜最近、全然来てくれないいんですもの…。今度はいつ、来てくださいますか?」
「姉様も土方様に逢いたくて逢いたくて、毎日お待ちしておりますよ。」
「まぁ、そのうちな…」
矢継ぎ早に土方さんに話しかける女性達。見た目からしてカタギの者ではない。
廓か…。
土方さんは、俺と付き合い出してからは花街に行く事はめっきり減ったが、未だに街を歩けば女達が寄ってくる…。
三人が楽しそうに話している様子を見たく無かった俺は、何も言わずにその場を離れた。