掲載期間1月1日〜10日までとなります♪少しでも楽しんでいただけたら幸いです><


12月31日…。
今年も色々と有ったが後、半日も過ぎれば今年が終わる。
蕎麦屋で土方は、土方SPにアレンジされた無残な蕎麦を啜りながら今年一年に思いを馳せていた。

クリスマスムードから一変してあたりは年末のカウントダウンに向けて若者が浮き足立っていた。商店街は、年末セールと初売りの準備と片付けの同時進行のせいか慌ただしく従業員が働いている。

食事を済ませ屯所への帰路へつく途中、人組のカップルの話し声が聞こえてくる。

「今年の初詣は二年参りしたいなぁ」

「じゃー、今日はこのまま何処かで時間潰して一緒に神社に行こうか?」

「本当に?いいの?嬉しい」

幸せそうな会話の内容に土方は少しウンザリとする。そんなに、初詣っていいものかね?と心の中で問いかける。
恋人同士のイベントとして、一年締め括りと始まりを一緒にいる為の口実にしか思えなかった。

屯所に戻ると沖田の姿を探す。
この時間、不詳の部下はよくサボっている。今日は内勤の筈なのに、仕事を山崎に押し付けてどうやら街に出ているようだった。先ほど山崎に会った。沖田の仕事を終えて、これから自分の仕事を始めるとボヤいていたのでサボりは間違いないだろう。そもそも、山崎も何故先に自分の仕事を終わらせずに沖田の仕事を優先させるのだろうか…そんな些細な疑問を抱きながら土方は、街の見回りと称して沖田を探しに再び街へと出た。

暫く、街を歩き回るが沖田の姿は何処にも見当たらなかった。自分の知る限りの沖田のサボりスポットを探してはいるのだが、どうにも今日は捕まる気配が無い。
最後に思い当たる場所は有ったが、出来れば足を踏み入れたく無い場所で有った。

「総悟の奴…まさか、万事屋の所じゃねーだろうなぁ…」

ギリッと奥歯を噛み締め、土方は万事屋の店へを向かった。万事屋は総悟に少なからず好意を抱いている事を土方は知っていた。だから、なるべる総悟を奴に近づけたくないと思ってはいるのだが、口煩く言って、心の狭い男だと思われたくないので、そんな事は口にはしない。
徐々に近づいてくる万事屋の建物。
ふと看板付近を見ると見慣れた制服と銀髪の男の姿を発見する。

「総悟の野郎…」

イライラした気持ちで万事屋の階段を登ると二人の話し声が聞こえてくる。二人は土方が近づいて来る事も気付かずに話しをしている。

「旦那ぁ、今年は行きますかィ?」

「んー。今年は神楽や新八も一緒に行くけどどうする?」

「俺は、他の連中が一緒にでも構いやせんよ」

「多串君はいいわけー?」

銀時が意地の悪い笑みを浮かべて沖田にそう尋ねると沖田は拗ねた様な表情を浮かべる。

「いいんでさァ。あの人、毎年酔い潰れちまうんでさァ」

「ふーん。だから毎年俺の事誘うわけ?俺は沖田君の事好きだからいいけどさァ。どうせなら、帰りに何処かで休憩しない?」

そう言って沖田の肩に手が触れようとしたその刹那。

沖田と銀時の間に刀の切先が割って入る。

「テメー…それ以上、総悟に近付くんじゃねーよ」

あから様な敵意を剥き出しにした土方の眼光が鋭く光。
殺気を隠す事もせずに、土方は刀を銀時の首筋に押し当てる。

「何してるんですかィ?土方さん…旦那がまた何かしたんですか?」

沖田がしれっとした態度でそう訊ねる。その瞬間、土方の顔に青筋が走る。

「おい!総悟…ここには来るなってあんだけ言ってんだろうが!」

沖田も土方のその言葉にムッときたのか珍しく苛立った表情を浮かべた。

「あんたに俺の交友関係をどうこう言われる筋合いはありやせんよ」

「そーよそーよ!沖田君は立派な大人なのよー」

銀時もふざけた口調で土方の言動を咎める。その行為が土方の苛立ちを助長させる。

「いいから行くぞ!」

そう言って沖田の細い腕を痛いくらいに掴むと無理矢理沖田を屯所へと引っ張って行った。沖田は後ろを振り向くとすまなそうな表情を浮かべて銀時を見た。

屯所へ戻る途中一言もお互いに話す事は無かった。
土方も苛立つ気持ちは屯所へ戻る間に大分冷静なものになっていた。帰り道の途中に小さな神社がある事を思い出すとその神社に足を進めた。

「土方さん?」

いかぶしげな表情を浮かべる沖田。

「悪かったな…」

今回のは完全に自分のヤキモチだという事を自覚している。毎年仕事の付き合いで酒を飲みそのまま次の日の二日酔いの頭を引きずって仕事をするのが、江戸に来てからの毎年の光景になっていた。武州にいた頃は、みつばも入れて三人で毎年二年参りに行っていたというのに…

「どうしたんですかィ?いきなり、謝るなんて気持ちが悪い悪いですぜ」

そう言って、自分の両腕を掴みおどけて見せる。

「いや…江戸に来てからの…一緒にお参りにこれなくて悪かったな」

「…」

二人の間に冷たい風が吹く。沖田の亜麻色の髪がサラサラと流れた。

「別に、気にしてやせんよ。あんたが、忙しいのは分かってるんで…」

そう言って笑う沖田の笑顔はどこか淋しそうだった。

「総悟…俺は守れない約束をするのは好きじゃねー…でも、お前が俺にして欲しい事があるなら、隠さず言って欲しい。
あんな銀髪野郎に頼らないで、俺を頼って欲しい。こんなのは、俺のエゴだってのは分かってる」

静かに目を閉じる沖田。
そして次の瞬間、大輪の花が咲く様な鮮やかな笑顔を見せた。

「あんた、本当に馬鹿でさぁ」

ケラケラと笑う。

「俺のお願いなんてただ一つなんですぜぃ」

「?」

土方は首を傾げる。その様子が可笑しいのか沖田は悪戯っ子の様な笑みを浮かべ土方に抱き付き背中に手を回す。
そして、耳元で一言も囁いた。






「あんたと一緒に生きたい」






END



明けましておめでとうございます!
今年1年も良いとしであります様に♪( ´▽`)

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