お正月企画SSです。
掲載期間1月1日〜1月10日まで。



現在は20XX年12月31日。
まもなく今年が終わり新しい年が始まろうとしてる。

黄瀬は最後の撮影が終わり今、まさに帰宅中だった。
あたりの光源は頼りないもので足元すらよく見えない。自宅周辺は如何いうわけかあまり、街頭が多くない。月明かりも乏しく、闇夜が辺りを覆い隠している。

住宅街である筈のこのニュータウンは如何いうわけか今日は静かだった。帰省中の人間が多いせいだろうか?と黄瀬はそんな事を考えながら家路を急いだ。

自宅まで後は数分と言う所で、黄瀬の携帯電話が軽快なメロディを奏でる。携帯をすぐに確認するとそこには恋人の名前でメールが届いていた。
内容はいたってシンプル。

【どこ?】

プッ笑いが溢れる。

返信を打ちながら歩みを進める。
うち終わる頃には目の前に自宅が見えた。しかし、自宅の門の前に人影が見えた。ファンの子?と一瞬警戒したが、暗がりを目を凝らして見ると、それが恋人の姿だった事に安堵する。

「青峰っち?」

遠慮がちに声をかけると青峰は少しは不機嫌そうな顔を浮かべる。

「よぅ。おせーじゃねーかよ」

「今日、来るなら先に言って欲しいッスよ。もっと早く抜け出して来たのに」

青峰は、黄瀬が自分の為ならどんな事をしてでも時間を開ける事を知っていた。例えそれが、どんなに忙しい時だろうが、大事な仕事だろうが自分を優先してしまう事を知っていた。だから、あえて今日、ここにくる事を告げる事はしなかった。

「行くぞ。黄瀬」

突然、青峰は黄瀬の手を掴むと足早に歩き出した。

「どこに行くんすか?」

黄瀬の質問にも答える事は無く無言で歩き続けた。

黄瀬は青峰に繋がれた手がとても冷たい事に気付き、青峰がずっと自分の事を待っていてくれた事を嬉しく思った。それと同時に悪い事をしてしまったなと感じた。

青峰の大きな背中を見つめる。

自分が仕事とバスケの両立させようとすると青峰との時間が取れない事に後ろめたさを感じていた。一緒に住んだらもっと一緒に居られる時間が増えるのになぁとボンヤリと考えていた。

「ついたぞ」

不意に歩みを止める青峰。
そこは小さな神社だった。青峰は携帯の時計を見るとニヤリと笑う。

「間に合ったな」

「?」

「二年参り」

「あー」

二人は小さな社に向かって参拝をする。
その間に何処か遠くのお寺で鐘を付く音が聞こえてくる。

(青峰っちと…一緒に居られる時間が増えます様に)

我ながら呆れる願いだと思った。

「おい、黄瀬。お前、何をお願いしたんだよ?」

「そう言うのを聞くのはエチケット違反っすよ」

青峰に軽口を叩く。青峰はそんな黄瀬の様子を見てニヤリと笑った。

「黄瀬」

不意にいつもと違う声色で名前を呼ばれる。

「なんすか?」

「高校卒業したらさ…一緒にくらさねーか?」

「はぁ?」

あまりの告白に黄瀬の口から思わずそんな言葉が飛び出した。

「だから、一緒に暮らしてくれっていってんだよ。何度も言わせんなよ…バカ」





神様に…願いがもう叶いそうです…



END



明けましておめでとうございます!
今年一年が良いとしになりますように♪( ´▽`)

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