キライだよ。

6話 キライより難しい
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「ねえ、シカマル。あんた、テマリと付き合ってんの?そんな噂があるわよ」


いのにそんなことを聞かれて、肯定も否定もしないでいたら、「付き合ってるのか?」の疑問形から「付き合ってるみたいだ」という噂に変わった。犯人はいのだな。

実際は付き合っていないのだが、ハッキリそう言えない部分もあって何も言わないでいた。

今のオレとテマリの関係を言葉にするなら、セフレ。

発端は、あいつが半年前に言い出したこと。

砂でオレ達が付き合っていると噂が有り、噂ではなく本当に付き合ってみるか?と言ってきたのだ。



「どうだ。シカマル。いっそ本当に付き合うか?」

「は?」

「いいと思うぞ」

「何言ってんのか、さっぱりわかんねぇな」

「そうか?」

「おい。茶化すなよ」

「シカマル。お前、性処理はどうしてるんだ?」

「はあ? ったく。明け透けな奴だな。一人でやってるよ」

「ふうん。それで満足してるのか?意外と淡泊なんだな」


一体、何なんだよ。ムッとするオレに、テマリは又、ハハハと笑う。


「話が終わったのならオレは帰るぞ」


笑いをピタリと止めたテマリが真顔になってオレを正面から見た。そしてニヤリと意味有り気な笑みを浮かべる。


「お前、女も欲情するって知ってるか?」

「ぁあ?」

「女もしたい時があるんだよ」

「へえ・・・」

「シカマル。お前が女としたい時は、私が相手になってやろう。だから、私がしたい時は、お前が相手をしろ」

「・・・命令形かよ」

「別に付き合うとか形はどうでもいい。大っぴらにした方がやりやすいかと思ったんだよ」

「ったく、まどろっこしい。最初からそう言えってんだ。要するにセフレってことなんだろ?」

「話がわかるじゃないか。こんなことを話しても、お前なら大丈夫だと思ったんだ」


ニヤニヤ笑っているテマリを見て、言わずもがなのことを聞いてみる。


「おまえ、彼氏はいないのかよ?」

「いたら、そいつとやるに決まってるだろ」

「だよな」

「シカマル。そういう、お前はどうなんだ?」

「あ?オレもいねぇ」

「ふん。で、お前はどうする?シカマル?」


どうする?と聞かれてもな。ここは正直に答えておくか。


「・・・オレは、特に断る理由はねぇけどよ。あれだ。おまえに本命が出来るまでの相手ってことならいいぜ」

「フッ。お前、真面目だな」

「真面目とかじゃねぇよ。めんどくせぇことになるのはゴメンだ」

「わかった。私もお前に本命が出来るまでは相手をしてもらうことにする。じゃあ、交渉も成立ってことでシカマル、早速、今日はどうだ?」

「はあ?忙しいから早く砂に帰るんじゃなかったのかよ」

「それはそれ、これはこれ」


ニッと笑う顔がイタズラっぽく、何とも憎めない。何というのか奔放な女だよ。


「あ〜。言っとくけど、オレ初めてだからな。期待すんなよ」

「初物か。結構結構、色々教えてやるよ」

「・・・砂の性教育って、どうなってんだよ」


呆れてしまった。結局、その日の内にオレはテマリを相手に童貞を捨てた。それから半年、幾度となくテマリと体を重ねている。

言葉の通り、テマリは初めてではなかった。色んなことを知っていて巧みにオレをいかせる。本当に砂の性教育が気になったので疑問を素直に聞いてみた。


「おまえのそれって、閨房術で教わったのか?」

「ん〜。まぁ、それもあるかな。シカマル、お前、くノ一が敵に捕まったらどうなるか知ってるか?」

「拷問か・・・」


ハッとした。くノ一が捕まったら、敵の男達に凌辱されるかもしれない。


「テマリ。おまえ、まさか・・・」

「バッカ。私が捕まるわけないだろ。ただね、くノ一は敵に捕まった時、生娘だったらかわいそうだろ?敵のくノ一だというだけで平気で酷いことをする場合もあるんだ。だから、早めに里の者と経験を済ませるんだよ。ついでに色んなことも教わるってわけ」

「そうか・・・」

「木ノ葉はどうなんだよ?」

「オレにくノ一のことを聞くなよ」

「お前、相手になってやりゃいいじゃん」


ハハハと明るく笑う。その笑顔の裏には忍の世界の厳しさが隠れていた。ひとしきり笑った後で、ふと目に留まった使用済みのゴムを摘んでテマリがちょっとしかめっ面をした。


「シカマル。お前って本当に淡泊だよな」

「あ?何だよ。2回じゃ足りなかったのかよ」

「普通、セックスを覚えたらサルになるんじゃないのか?」


同じベッドで裸のまま、事を終えた男に対して言う言葉かよ。


「人それぞれだろ?」

「それとも、私の体が良くないか?結構、自信はあるんだがな」

「ハハッ。おまえ、面白れぇな」


自分の体に満足してるか気になるなんて、テマリの中に可愛い女の部分を見た気がした。


「おまえに不満はねぇよ。セックスは気持ちいいしな。ただオレがサルにならないだけのことだ」

「そうか・・・」


確かに、とテマリは思う。「サルにならない」と言ったシカマルがセックス中、獣のようにがむしゃらにガッつく姿を見たことがない。初めての時ですら余裕があったほどだ。

覚えが良く、あれよあれよという間にシカマルがリードするようになった。的確にツボを突いてきて、今では私の方が訳もわからないぐらい乱されている。

まあ、満足しているからいいのだけれど。この男、本気の恋愛をすることはあるんだろうか?

ギラギラと欲望丸出しの、なりふり構わない歯止めがきかないくらいの恋愛を。


コイツをそんな風に変える奴がいたら、お目にかかってみたいもんだね。


あ、そういえば。


「シカマル」

「ん?」

「近いうちにアイツが帰って来るそうじゃないか」

「? あいつって誰だよ?」

「ナルトだよ」


 
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