「and(miracle,dream,happy)」シリーズ短編集
□不在と不安と心の絆
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任務から家に戻るとナルトがいなかった。
あれ?アイツ3日間休みもらったって言ってなかったか?
急な任務でも入ったか?
ひとまず荷物を置いて、ドロドロに汚れた忍服を脱いだ。他の物と一緒に洗濯は出来ねぇな。と、洗濯機の蓋を開ければ、脱水された洗濯物が入っていた。
手で触れば、乾いちまってる洗濯物。やっぱ、急な任務が入ったのか。
放置され少し臭う洗濯物を取り出すと、それがシーツだとわかった。
シーツ・・・。
ナルトがシーツを洗う時っちゃあ、あれだ。Hして汚した時だ。
H・・・。
いつ、したんだっけ。オレが任務へ行く前だから、3日前か。
3日間、放置の洗濯物かよ?
あの時は、確か・・・。そうだ。ナルトがいつになく嫌がりやがって、それが猛烈にオレを煽るきっかけになったんだよな。
まてよ。そもそも、何で嫌がったんだか。
『やめろよ。シカマル。おまえも知ってるだろ?』
嫌々言うナルトの口を口づけで塞いで、オレの下から抜け出そうとする体をガッチリ組み敷いたんだった。
与える愛撫にとろとろになったナルトは、心ここにあらずで、自ずと体を開いてオレを深くまで受け入れた。
オレは任務前、ナルトは休みの前という好条件に、オレは思いのまま何度もナルトを抱いた。
いつもは付けないキスマークも一杯付けてやった。気を失ってしまったナルトの体を拭いて、後処理もした。
オレは朝早くの出立だったから、眠ってるナルトにキスをして起こさないよう静かに家を出たんだよな。
『やめろよ。シカマル。おまえも知ってるだろ?』
オレも知ってる? 何を?
何だか無性にマズイことをしたのではないか?と思えてくる。
喉がカラカラに渇いてきてゴクンと唾を飲み込んでも潤わない。冷蔵庫を開けてペットボトルのお茶を取り出した。
一気に、ゴクゴクと煽った時に、ふと目に付いたカレンダー。日付に何か書いてある。
傍まで行って、その文字を見たら、ブハッと思わずお茶を吹き出してしまった。
"ナルト。健康診断"
・・・やっべぇ。これか。
『まとまった休みが取れたら、健康診断しろって、バアちゃんに言われてるからさ。今度の休みに健康診断に行くってばよ』
言ってたな。確かに言ってたな。あ〜、チクショウ。忘れてた。
まさか、ナルトの奴、健康診断に行ったんじゃねぇよな。あんな、キスマークだらけじゃ、裸になれねぇし。
うっわ。ナルトの怒った顔が目に浮かぶ。
でも、まてよ。
だけど、何で家にいないんだ?
ナルトに何かあった?
健康診断した結果が良くなかったとか・・・。そんなすぐ結果がわかるはずねぇか。
それとも、体中のキスマークが変な病気に間違われたとかよ。ハハッ。そんな訳ねぇか・・・。
・・・・・・・・・・。
ナルトの不在に言いようのない不安が募る。
ナルトッ! どこ行ったんだ!
ガチャガチャッ。バタンッ。
「あれ〜。シカマルの靴があるってばよ。帰ってるのか?」
ナルトが靴を脱ごうとしていると、ドタドタドタと大きな足音をさせてシカマルがやって来た。
「ナルトッ」飛びつくように抱きしめられる。
「え?え?シカマル?」
直立不動のまま強く抱きしめられて、身動きが取れず、ただただ驚いているナルト。
「・・・バカヤロ」
耳元で毒づくシカマルの声には力がないのに、ナルトを抱きしめる腕の力はギュウギュウ強くなるばかりで・・・。
この状況が理解出来ないながらもナルトは、シカマルの腕の中で力を抜いて、体をシカマルに預けた。預けながら腕を背中に回して優しくさする。
「どうしたってばよ?」
「おまえが悪い」
「はあ?意味わかんないってばよ。シカマル、何言ってんだ?」
「ナルト。おまえ、健康診断どうしたんだよ?」
「あ! 俺、怒ってんだからな〜」
「マジか」
「あったり前だってばよ。でも、それより大変なことがあってさ、シカマル」
ナルトが腕の中で顔を上げる。
「ヨシノのおばちゃんが風邪でダウンして入院したってばよ」
「へ?お袋が?」
「うん。サクラちゃんから連絡きてさ、シカクのおっちゃんはバアちゃんに付いて他里に行ってるから、俺がヨシノのおばちゃんに付き添ってったってばよ」
「・・・・・」
「もう熱も下がったし、食も出てきたから大丈夫だってさ。今日は、シカマル戻って来る日だし、俺、おばちゃんに言って、ちょっと家に帰って来たってばよ」
ニシシと笑われて、シカマルは又、強くナルトを抱きしめた。
「そっか。ありがとな。ナルト」
「いいってばよ。俺、お世話出来て嬉しかったし。後でシカマルも一緒に病院行くってばよ」
「ああ。あっ、そうだ。おまえ、健康診断は?」
「だから〜、それどころじゃなかったから、まだやってないってばよ。でも、どうせ出来なかったけどさ。キスマークだらけで」
「ハハッ。悪ぃ悪ぃ」
色んな意味で安堵してシカマルは、もう一度ナルトを強く抱いた。
「苦しいってばよ」
腕の中でもがくナルトの、お袋の知らせを聞いて慌てて洗濯を放り出して家を出て行く様子が目に浮かぶ。
ナルト。おまえ、最高のヨメだ。
「ん?何か言ったってばよ?」
「いいや」
一緒に暮らして数年目のオレ達。二人でいる生活が当たり前になってきて、おまえの不在がこんなにもオレを動揺させるなんてな。
互いを抱きしめる左手の薬指にはキラキラ光るお揃いの指輪。
指輪のように目で見える絆に、目に見えない心の絆が加味されて、オレ達、ちゃんと家族になっていると思わないか?
ナルト。
end
※おまけ小説が
過去のWeb拍手
ページにあります。よろしければ、そちらもどうぞ。
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