花宮の幼なじみ!?

□私とサトリと悪童と
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涙は咄嗟に花宮の後ろへと隠れる。

「ちょっ、おいっ!」

花宮は背中に隠れた涙を見て、そして、今吉を見た。
相変わらずニタリを笑う今吉は口を開いて

「自分、名前は?」

と涙に聞いてきた。

『え、あっ・・・・その』

少しどもる涙は花宮の背中の方のシャツを掴みながら答える。

『し、白柳涙、です。』

「へえ、涙ちゃんか。わしは今吉翔一や。よろしゅうな」

『あ・・はい』
(今吉翔一って真と同中だったんだ。忘れてた。・・てかあの笑み怖い。苦手かも・・)

そう思った矢先に

「なんや、涙ちゃん、わしのこと苦手か?」

思いもよらない言葉が降りかかってきた。

『っ!?』
(心、読まれた!)

「そう驚くことはないで・・・初めてあった時の花宮と似てるからのーそう思ったんや」

今吉は視線を花宮に変えた。

「・・・・・。」
(っち・・余計なことを)

花宮はその視線からそらすように涙を見て

(もう行け!)

と眼で言った。

(いやいや、行きたいのは山々なんだけど、なんか、いっちゃいけないような・・・)

涙も眼で言う。

「あ、それはそうと。花宮とはどんな関係なんだ?」

と空気をぶち壊す木吉。

(木吉ーー!空気読め、これ以上ここにいた涙が妖怪に毒されちまうだろが!)

花宮は木吉を睨む。だが、そんなことは気にもせず木吉はにこにことしながらさらに質問をする。

「花宮の彼女なのか?」
思いがけない質問に花宮と涙は

「ぶっ!」
『ぶっ!』
とふきだした。

「バァカ!ち、違ぇよ!涙は俺の幼馴染だ!」

顔が真っ赤にながら答える花宮に

「あー花宮、顔が真っ赤だー」
指をさして言う葉山に対し

「うるっせーよ!黙れ」

「へえー、幼馴染か、ええなー」

ビクッ
となった花宮は冷や汗を流した。
今吉から何か黒いモノを感じたからだ。

(なにか企んでやがる)

だが、相変わらず二ヤリとした笑みからは、それだけしか分からなかった。

そして、部員の一人が

「帝光中学校がきたぞー」

と言うまで花宮と今だ背中に隠涙、今吉は一歩も動かなかった。
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