短編
□ボツにした2
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「帝光中に行きたい?」
涙の父は思わず、聞き返す。
花宮の試合を観に行った次の日の日曜日のこと
ひさしぶりに仕事が休みで家族水入らずで家で過ごしていた白柳家。
今日の昼食、涙の言葉から
『帝光中に行きたい』
と言われた。
父が聞き返した後、涙は続ける。
『そこの中学校の制服が可愛いの。』
一番の理由としては嘘になる。
だが、本当の事は言えない。
「まあ、涙が行きたいのならそうすればいい。けど、いいのか?真君と同じ照栄中じゃなくて・・」
『うん。いいの。』
あっさりと答える涙に対して、父は
「そうか。分かった。」
承諾をしてくれた。また母も
「いいんじゃないかしら。帝光中の制服って本当に可愛いのよね〜。きっと涙に似合うわ。」
と。父、母、共に許可をいただいた。
(さて、真にはなんて言おうか。・・一応、言うべきだろうし。タイミングで・・・)
「そういえば」
母は思い出したように涙に
「今日、マコちゃんの家と夕食をご一緒することになってたの。うちでね」
満面の笑みで言った。