蠅王短篇

□乙女日
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名無しさん『すいません姫川先輩…。体調悪くて行けそうにないです…。』



名無しさんから連絡が入ったのは昼過ぎだった。



今日は久々に2人で出掛けるつもりだったが、体調悪ぃって言われちゃしょーがねぇよな。



とか思ってても、愛しい奴に会えねぇのはやっぱりイラつくわけで。



そんな気持ちを紛らわす為にケータイ弄ったり、ゲームしたりして時間を潰す。



姫「…眠ぃ。」



目が疲れたのか、唐突に睡魔に襲われて一休みしようかとソファーに寝っころがった瞬間、名無しさんからの着信を知らせる音が鳴った。



姫「どうした?」



名無しさん『グズッ…姫川先輩…。死にそうです…!←』



姫「…今行ってやるから待ってろ。」



ったく…、泣く程体調悪ぃのか?



名無しさんが一人暮らしな事もあって、心配する気持ちに拍車がかかった俺は直様家を出た。



__________…



名無しさんの家に着いたが、インターホンを鳴らしても出てくる様子は無い。



あんだけ体調悪ぃなら出掛けてることもねぇ筈だろ…。



ドアノブに手を掛けると、カチャッ…と軽い音がしてドアが開いた。



おいおい、一人暮らしのくせに無用心すぎるだろーよ;



姫「名無しさんー?入るぞー。」



勝手に入り込むのは何だか気が引けたから、取り敢えず声は掛けて恐る恐る家に上がる。



リビングに入ると、テレビも電気も点けっぱなしで名無しさんがソファーで寝ていた。



久々にコイツの寝顔見た気がする…。



だが、その寝顔はいつも程気持ち良さそうではなく眉間に皺が寄っていて具合の悪さを物語っていた。



若干汗ばんで紅潮した頬、寝返りをうったせいか乱れている寝巻き。



あー、やべぇわ。



無意識に名無しさんの頬を撫でていた俺。



その時、名無しさんの綺麗な瞳がうっすらと開いた。
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